「アンチニュートリエント」であるアルコールの性質|フィジオ福岡 栄養科学

飲酒は一般的な習慣となっていて、その害については飲み過ぎなければというように考えている方も多いのではないかと思います。
しかしながら、しっかりとトレーニングと食事管理を行っていたとしても、「アルコール摂取」によってその努力を台無しになってしまうことがあるのをご存知でしょうか。

お酒に関しては「適量ならばよい」という方が多いかと思いますが、実際のところアルコールを摂取する習慣がある人にとって「適量」に留められることは殆どなく、だいたいのケースが気をつけてるとはいえ、飲み過ぎてしまうことが多いのではないでしょうか?

お酒にも含まれる「アルコール」ですが、食品にも薬物にも分類されており、1gあたり7kcalのエネルギーを持つ「アンチニュートリエント」(栄養素の吸収を阻害するもの)として知られています。
この「アンチニュートリエント」は「反栄養素」といわれたりしています。
「反栄養素」とは、代表的なにフィチン酸塩、酵素阻害物質、ゴイトロゲン(甲状腺腫誘発物質)といったものがあり、「タンパク質の消化と吸収を阻害し、亜鉛やカルシウム、マグネシウム、鉄といった必要なミネラルの吸収も邪魔してしまう」という働きがあるものをそう呼んでいます。

「アルコール」もこの「アンチニュートリエント」の代表的なものであり、その摂取によって本来あるべきタンパク質の消化と吸収やミネラルの吸収を邪魔しているということは覚えておかなければならないでしょう。

報告されている研究論文をまとめていくと、おおよそ「適量かつ、普段の食事が高タンパクで必須脂肪酸を含み、バランスの良い食事と定期的な運動を行っているならば、アルコールが害となることは殆どない」ということが言えるかと思います。
しかしながら、あくまで条件付きで「害になる可能性が低い」という報告が多く、「適量ならば体に良い」という報告はありません。
また、ワインの摂取が運動する人に対して心疾患リスクを低減するなどの報告もありますが、その提唱している摂取量はほんの微々たる量であり、普通に飲んでしまうと明らかにマイナスの側面が強くなってしまいます。
実際のところ、楽しくお酒を飲んでしまうという時に、アルコールを適量にとどめておくことがそもそも難しいと思います。

このアルコールですが、男女で体内の分解酵素の量に違いあり、男性の方が女性より影響を受けにくいという報告がされています。
これは男性の方が、血中のアルコール濃度が高まる前に酵素によってアルコールが分解されやすいからであるとされています。
ただし、分解されるからたくさん飲んでいいということにはなりません。
それはアルコールの代謝をみても一目瞭然です。

アルコールは体内で中性脂肪に変換されていきます。
この中性脂肪はいわゆる脂肪組織、男性ならば腹部、女性は腰回りに蓄積しやすく、いわゆるビール腹のようにアルコール摂取が原因となる肥満の一つの要因となります
また女性の場合は糖化による代償として、肌の老化、骨粗しょう症、血管を痛める原因にもなるとされています。

またアルコールを過剰に摂取してしまうと肝機能が低下し、そのためにATP産生が低下し十分なエネルギー供給がされず、疲れやすい体質になってしまうということも考えられます。
その他、糖尿病、心臓病、ガン、肝機能不全など、加齢に関わる病気のリスクを高めてしまうこともあるのが「アルコールの過剰摂取」です。

ついつい飲み過ぎてしまうということは仕方のない事かもしれませんが、「アルコール」についてしっかりと知ることで、お酒を飲まない日を作ったり飲むことを前提に飲んだ分をきっちり精算すべく運動によって消費するような心がけが重要になってきます。

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