運動というものは、筋の興奮により始まり筋が収縮することにより起こります。
この際の筋の興奮は、生理的条件下においてはその筋を支配する「α運動ニューロン」の興奮に連動しています。
「α運動ニューロン」は、運動の「最終共通路」と呼ばれるように中枢や末梢からの命令や情報のすべてが最終的にここに収束し、これらの入力がα運動ニューロンの興奮性を調節することによって運動の調節が図られています。
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このα運動ニューロンにおける神経結合は、筋に由来する低閾値の求心性線維(筋求心性神経、I 群線維)からの興奮性や抑制性の入力により「α運動ニューロン」の興奮性を調節する「脊髄反射回路」のことを指します。
「脊髄反射回路」の中でよく知られているものに、筋紡錘からくるIa線維を入力とした同名筋促通、異名筋促通、拮抗筋抑制が有名です。
同名筋促通は、すべての筋にみられる腱反射の回路でIa 線維が同じ筋の運動ニューロンに直接投射し興奮させる単シナプス性の経路をとるのに対して、異名筋促通は共同筋間によくみられるものでIa 線維が共同筋運動ニューロンを直接興奮させる単シナプス性の経路になります。
また拮抗筋抑制は、Ia線維が抑制性Ia介在ニューロンを興奮させ拮抗筋運動ニューロンを抑制する2シナプス性の経路をとり、両方向性にみられることが多いため「相反性抑制」とも呼ばれます。
これら経路の他にも、Ia線維やゴルジの腱器官からのIb線維を入力とした多シナプス性の促通性や抑制性結合も存在します。
これらの神経結合は、姿勢の維持や滑らかな随意運動のために非常に巧みに作用していると考えられています。
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このような神経結合は、必ずI群線維が興奮して初めて機能するものです。
Ia、あるいはIb線維は筋や腱の伸展により興奮することになりますが(受動的興奮)、由来する筋の随意収縮によっても興奮することもわかっています(能動的興奮)。
すなわち、Ia線維は運動命令による「γ運動ニューロンの活動」(α-γ連関)によって、Ib線維は随意収縮による腱の張力の増加によって興奮することになります。