ヒトの産熱機能における震え産熱と非震え産熱|フィジオ福岡 代謝の科学

ヒトの産熱機能は震え産熱と非震え産熱に分けることができ、主に呼気ガスを分析する酸素摂取量から評価することが可能になっています。
震え産熱は骨格筋の不随意な収縮により、運動エネルギーを熱に変換し、 酸素摂取量は基礎代謝の3〜5倍になります。
一方で、非震え産熱は基礎代謝のような不可避的な産熱に加え、寒冷刺激により適応的に亢進する産熱のことをいいます。
これは、褐色脂肪細胞のミトコンドリアに特異的に発現する脱共役タンパク質(UCP: Un coupling protein)が寒冷刺激により活性化され、ATP(アデノシン三リン酸)を生産する替わりに熱を生成することが可能になっています。
熱が体外にも散逸する震え産熱に比べ、非震え産熱はより深部での発熱であるため熱獲得効率は高いとされています。

これまではヒトの適応的な産熱は震え産熱がほとんどを占めると考えられてきましたが、近年では褐色脂肪細胞によるヒトの非震え産熱が成人でも存在することが明らかになり、今その機能が注目されています。
褐色脂肪は、げっ歯類やヒトの乳幼児では多く観察されていますが、成人したヒトでは退縮されるとされてきました。
しかしながら成人の褐色脂肪の活動は普段は観察されていませんが 、16〜18℃の穏やかな寒冷曝露により活性化されることがわかっており、この活動はPETによって定量化することが可能になっていて様々な研究が進んでいます。

ある研究においては、褐色脂肪の活性は若年者・女性で高いとされ、季節変動も報告されています。
また震えの生じない穏やかな寒冷曝露では、夏期に比べて冬期では15%程度酸素摂取量が増加することを報告した研究も存在します。
褐色脂肪の活性が高い個体は寒冷曝露時の産熱量 (酸素摂取量)が大きく、その増加は基礎代謝の15〜20%に相当するともいわれています。

以上のことからも、褐色脂肪は現時点では最も有望な非震え産熱の熱源であると考えられています。
ぜひ、冬の寒さを厚着で過ごすことなく、活用して基礎代謝を上げてみてはいかがでしょうか?

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