私達の体内に張り巡らされたリンパ管、そしてその中を流れるのがリンパ液。
体内のあちこちで不要となった老廃物を集めて運び、やがて血液と合流し、腎臓に運ばれて、尿として体外へ排出する働きをしています。
老廃物、つまり体内のゴミの回収と運搬という働き自体は静脈を通る血液と同じですが、大きな違いはゴミの大きさにあります。
リンパ管では、血管に回収しきれなかった大きなゴミを運搬しています。
また、体にとって有害な細菌やウイルスなどの物質を、リンパ管の途中にあるリンパ節でろ過し、有害物質から体を守るのも大切な役目になります。
例えば、体調が悪くなって「リンパが腫れる」のは、リンパ節内での有害物質 VS リンパ液の戦いが、目に見える形で現れた状態です。
リンパ節は全身で800箇所以上あるともいわれ、中でも、鎖骨 の上、頸部、腋窩、鼠蹊部、膝の裏には大きい節があります。
リンパの流れが滞るとリンパは、自律神経や筋肉運動などの力で常に心臓に向かって流れていきますが、どの程度の速さで流れるかというと、とてもゆっくりしたもので、30 秒で約 12cm。
1 秒にすると、なんと 0.5cm 以下となり、ものすごくゆっくり動いていることがわかります。
さらに、眠っている時や疲れている時、緊張している時、寒い時などには、ますますスピードが落ちていきます。
だから滞ってしまうことも多くなるのです。
「リンパが滞る」ということは、老廃物が排出されないということで、これが体にさまざまなトラブルを引き起こす原因となっていきます。
生体は、細胞の活動によって、生命の維持に必要なエネルギーや物質をつくりますが、 同時に不必要な物質もつくられます。
それらは汗・尿・便・呼気などの形で体外へ排出されます。
例えば、酸素を使ったあとに発生する二酸化炭素は、肺を経由して呼気として排出されます。
また生体内のタンパク質が分解して生じる窒素化合物(尿酸、アンモニ アなど)は、腎臓を経由して尿として排出されます。
乳酸などの代謝性物質は通常は血流またはリンパの流れによって洗い流されますが、さまざまな理由によって流れが滞るといつまでも筋細胞内にとどまって、筋肉痛やコリの原因になります。
こうした老廃物が蓄積されることによって、さらに血管やリンパの流れを悪くしていくという悪循環になっていくのです。