上下肢を激しく用いるスポーツにおいて成長期における体幹はその安定性の基盤になります。
例えば、投球動作などにおいても下肢から生じるなめらかな力源伝達が肩、肘関節など特定の部位への負荷の増大を軽減しうることがわかっています。
体幹の安定性や可動性を様々な形で得ることは、体幹そのものの障害のみならず、上・下肢スポーツ障害の予防にも重要な要素となります。
成長期においては骨成長が著しいため、不適切なコンディショニングによる筋硬結や筋長に影響をおよぼす可能性が高く、運動制限だけではなくスポーツ障害へ移行することも十分に考えられることです。
体幹のコンディショニングを考える上で重要になるのは、可動性、安定性、持久性、協調性を確保することです。
臨床的に多いケースとしては股関節の可動性低下と体幹とくに体幹下部の不安定の増加です。
また、上肢のスポーツ障害とともに生じている体幹安定性、可動性、持久性の低下と四肢との協調性が低下する頻度も多くなります。
障害発生部位における安定性の低下と可動性の増大は実は運動連鎖が引き起こす連動した代償動作によるものである場合が多いです。
たとえば、腰部の過剰な可動性がある場合、その原因の多くは股関節の可動性低下が関係していることなどがあります。
バッティングにおける下肢運動制限が下部体幹への過剰な伸展・回旋動作での腰痛の引き金になっていると報告する研究もあるように、様々なスポーツ動作で股関節の可動性が低下することでの体幹部の安定性の低下が障害の発症原因にされることは障害からのリコンディショニングや予防を考える上で非常に大事な考え方になります。