「正しい姿勢が良い」というのはよく言われることです。
ではどのような姿勢が正しい姿勢なのかを考えると意外と難しいですよね。
人が地球上で活動するにあたって重力を切り離して考えることはできず、私達にはいつも重力がかかっています。
その為、一般的な良い姿勢とは「重力に対する身体の適応状態」のことをいいます。
姿勢とは「身体の構えや全身の形を表すもの」
そもそも姿勢(posture)とは何かと問われると、人それぞれさまざまな答えが返ってくるでしょう。
人それぞれ姿勢の違いがあるように、姿勢に対する捉え方も違うものです。
したがって、どのような姿勢が正しいとか、どのような姿勢が良いとは一概には言えません。
それでも、何かしらの知見に基づいて見ると、正しいと考えられ得る姿勢があるのも事実です。
姿勢という言葉を辞書で引くと「からだの構え方」や「格好」となっています。
まとめると「身体の構えや全身の形を表すもの」。
運動学的に言えば、構え(attitude)とは頭部、体幹、四肢の位置関係であり、形は体位(position)と言い換えることができ、身体の基本面が重力方向に対してどのような関係にあるかという意味になります。
したがって、姿勢とは「身体各部の位置関係とそれら基本面と重力との関係の総和」と言い換えられるでしょう。
それでは、なぜ人間は姿勢を保持できるのでしょうか?
人間が重力やその他の外力に抗って一定の姿勢や肢位を保持できるのは運動指令によるものだとされています。
運動指令とは、自己の姿勢の状態に関わる情報が、筋・関節・前庭迷路にある固有感覚器や皮膚や眼などの外受容器から、中枢へと入力・統合され、身体各部の釣り合いを保つように筋緊張を調整する情報として出力されることの一連の流れを言います。
運動指令による姿勢の保持は、内部環境と外部環境とから算出される姿勢の情報の統合と出力の結果であると言えます。
人間が直立二足歩行を行うようになってから、重力に抗う努力が必要になりました。
その努力は、無意識下での努力から、急速に発展し、今や意識下での努力までもが必要となっています。
どんな姿勢で日常動作を営むのか
身体の歪みがなく自然なバランスがとれた状態で立つことができれば、骨格だけで身体を支える事ができる姿勢になり筋力をあまり使わなくても真っ直ぐ立つことができます。
筋力をあまり使わなくてよく、関節への負担も軽減され疲れにくくなります。
逆に悪い姿勢では筋肉が縮みすぎたり伸びすぎたりしている状態になります。
この状態では効率的に力を発揮できないのです。
姿勢はすべての動きの基本になっており、どんな姿勢で運動を開始するのか、どんな姿勢で日常動作を営むのかということが大切になってくるのです。
姿勢には、静的姿勢と動的姿勢の2種類ありどちらも重要です。
スポーツの中では動的姿勢を見がちですが、まずは静的姿勢から評価し筋力のアンバランスや重心のかけ方の癖などをチェックします。
スポーツを行う上で静止状態のよい姿勢が維持できるというのはとても重要です。
パワーを最大限に発揮するためにも、怪我しないためにも大切になってきます。
スポーツでは動きを見がちですが、まずは静的姿勢をチェックしてみて下さい。