リカバリーを考える上での睡眠の重要度|フィジオ福岡 リカバリーの科学

よいパフォーマンスを行うためにはよいリカバリーとよい準備が不可欠です。
睡眠はリカバリーの中でも最も重要な要素のひとつとなります。
その理由として「活性酸素」「疲労物質」があるといわれています。

十分な睡眠時間を確保できるように生活スタイルを調整することが、リカバリーにとって重要。

活性酸素とは、体内で酸素が消費された際に出る燃えカスのようなもので、細胞を傷つけるという悪行をします。
したがって細胞、例えば筋繊維は傷つき正しく収縮を行うことはできなくなります。
さらに、その傷ついた細胞(筋の場合は筋繊維)からは老廃物が発生し、その老廃物からさらに悪者であると考えられている「あるタンパク質」が発生します。
このあるタンパク質とはFFと呼ばれています。

まだまだ研究が進められている途中ですが、このFFが私たちの身体の疲労原因物質であると有力視されています。
この疲労物質FFについてわかっていることは「睡眠によって除去される」ということです。
睡眠の際に「疲労回復物質」が分泌されるためとされ、十分な睡眠時間を確保できるように生活スタイルを調整することが、リカバリーにとって重要になります。
このように睡眠は非常に重要であることがわかります。

睡眠のメカニズムにおいては、睡眠物質と概日リズムの2つの制御がある。

睡眠のメカニズムにおいては、2つの制御があります。
1つは睡眠物質です。
覚醒時間が長ければ長いほど疲れて眠くなってしまいますが、それは脳内に睡眠物質が溜まってしまうためだと考えられています。
代表的な睡眠物質はアデノシンで、エネルギーとしてATPを使った際に分解されて出てくる物質です。
このような睡眠物質が蓄積していくことで眠くなるのです。

もう1つは、サーカディアンリズム(概日リズム)です。
朝方から午前中は覚醒度が上がって、その後は夜になるにつれて覚醒度が低下していきます。
疲労物質は睡眠によってのみ解消されるといわれていて、寝ないと疲労がどんどん蓄積してしまうと考えられています。
これはきちんと寝ることができれば適度な時間で済みますが、疲労がたまっていくとそれを解消するのにより長い時間がかかってしまうのです。

徐波睡眠を効率的にとるかは、睡眠のリズム・タイミングがポイント。

また、睡眠は時間も大切ですが、その質も重要です。
まず一般的に考えられるのは、深い睡眠がしっかりとれているかどうかだと思います。
睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があり、ノンレム睡眠にはさらにその眠りの深さによってステージ1~3に分けられています。
ステージ3が最も深い睡眠で徐波という波が多く含まれていて、徐波睡眠、または深睡眠ともいわれています。
この徐波睡眠のときに成長ホルモンが分泌されるので、疲労回復の観点からいえばとても大切な時間だといえます。
いかに徐波睡眠を効率的にとるかは、睡眠のリズム・タイミングがポイントとなります。

夜遅くまで活動していると、交感神経系が活性化して体温が上がり、自律神経系のバランスも影響を受けてしまうので、入眠しにくい状況になってしまいます。
徐波をうまくとれない人は、例えば寝る数時間前にお風呂に入って体温上げておいて、寝るときには一気に体温が下がった状態にするなど、体温の勾配をつけることで、徐波がより出やすくなります。
一方、レム睡眠も疲労回復という意味では、メンタル面の疲労回復に重要だといわれています。
徐波睡眠による成長ホルモンや免疫機能増強などの身体的な疲労回復と、レム睡眠によるメンタル面の疲労回復、この両方をバランスよくとることが大切なのです。
レム睡眠とノンレム睡眠の周期は、一晩でおよそ4周期あり、周期の内容はそれぞれ異なります。
1周期目はほとんどが徐波睡眠で、まれにレム睡眠をスキップすることもあります。
レム睡眠は朝に出るサーカディアンリズムをもっていて、周期を重ねて朝になるにつれてレム睡眠の役割が多くなっていきます。
徐波は入眠直後にでる波なので、夜更かしをして朝方に眠ると、徐波とレムが拮抗してしまい、バランスのよい睡眠がとれなくなります。
よって、寝るタイミングも重要だといえます。

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