「運動とエネルギー」

全ての運動は筋収縮のよってなされていますが、筋収縮の直接的なエネルギー源はアデノシン三リン酸(ATP)の分解によって生じます。

しかし、ATPは筋肉中にはわずかにしか存在しないので、3~5秒の運動で使い果たされてしまいます。

その為、私たちの身体は運動をしながら絶えずATPを再合成しなければなりません。

このATP再合成のためのエネルギー源は、「ATP-PCr系」「解糖系」「有酸素系」の3つのシステムによって供給されています。

「ATP-PCr系」は、ATP供給系の中でも最も短時間に再合成できるクレアチンリン酸の分解によるものです。

このシステムは、筋肉中に含まれるクレアチンリン酸の量に限界があるので、すぐに枯渇してしまいますが、短時間にATPを再合成することが可能なため、10秒以内の瞬発的な激しい運動で主に働きます。

「解糖系」は、筋肉中に含まれるグリコーゲンや血液中に含まれるグルコースをピルビン酸に分解する過程でADP(アデノシン二リン酸)からATPを再合成するシステムです。

この過程は酸素の有無にかかわらず進行しますが、酸素が介在しない場合は、ピルビン酸は乳酸に変換されます。

一般的に解糖系は、60秒程度持続するような全身運動を行うような時に、主に働きます。

「有酸素系」(酸化系)では、酸素を利用してグリコーゲンやグルコース、脂肪を水や二酸化炭素にまで分解する過程の中でATPが作られます。

グリコーゲンやグルコースの分解によってできたピルビン酸からアセチルCoAが生成され、そのアセチルCoAがTCA回路に入りATPが作られます。

酸素を使った解糖やTCA回路ではATPのほかに水素を放出しますが、この水素はさらに電子伝達系と呼ばれる過程によって、さらに多くのATPを作り出します。

エネルギー源は糖質や脂肪なので、酸素が十分に利用できる条件では無制限に運動を継続することが可能です。

しかし、単位時間あたりに供給できるエネルギーが小さいので、短時間の激しい運動では十分なエネルギーを供給することは難しいといえます。

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