筋緊張異常を考える|フィジオ福岡 コンディショニング

筋緊張とは、安静状態にある筋を他動的に引き伸ばしたときに筋に生じる反発力のことです。

この主な発生要因は近固有の物理的粘弾性と筋の伸張反射です。

筋の粘弾性は、病変などによる筋組織自体の構造的変質を伴わないかぎり、一定かつ恒常的ですが、それほど強いものではありません。

全身麻酔下で筋の伸張に対する反応が起こりますが、それがこれであり、手応えをほとんど感じない程度です。

それぞれ疾患により異なったメカニズムによる亢進症が起こる。

筋緊張の主な要因は筋伸張反射にあり、その活動状態は強く上位中枢に依存し、その状態を強く反映させます。

筋緊張の異常状態としては筋緊張低下症と筋緊張亢進症があります。

筋緊張低下症とは、安静時に筋をいかに伸長してもまったく手応えのない状態のことをいいます。

精神緊張を高めても影響を受けにくいことから低下症として診断できます。

末梢性障害に多く見られ、筋伸張反射回路がどの部分で遮断されても生じ、障害の部位により特徴的な徴候を伴います。

例えば、急性灰白髄炎では運動ニューロンそのものが侵されるので運動麻痺・筋収縮を伴います。

Ⅰa群線維の変性を伴う脊髄癆では運動麻痺はありませんが、肢位感覚の障害を伴います。

中枢性障害による例としては、脊髄ショック・小脳障害あるいはハンチントン病やジストニアなどの不随意運動を主徴とする大脳基底核疾患などが挙げられます。

小脳障害では、γ運動系の活動低下が重要視されています。

これに対し、安静時においても常時、伸張反射を示す状態は筋緊張亢進症として診断されます。

亢進症の現れ方はさまざまですが、代表例として痙縮と固縮が挙げられます。

亢進症を伴う疾患はさまざまであり、障害される中枢部位・内容・程度なども多岐にわたっています。

したがって、それぞれ疾患により異なったメカニズムによる亢進症があり得ます。

痙縮と固縮

痙縮は、相動性の筋伸張反射です。

反応の強度が筋の伸張速度に比例する病的亢進状態として定義されます。

病因は、大脳から脊髄にいたる中枢神経系内のいろいろなレベルに生じる機械的損傷、血流障害、変性などの幅広い障害です。

病変の部位・程度により多彩な徴候が合併します。

著明なものとしては、運動麻痺・屈筋反射亢進・病的反射亢進・知覚障害などが挙げられます。

麻痺・痙縮・病的反射の3徴候は錐体路徴候としてまとめられています。

固縮は持続性の筋伸張反射です。

反応の強度が筋の伸展の長さに比例する病的亢進状態として定義されます。

代表的な疾患としてパーキンソン病、痙性脳性麻痺などが挙げられます。

いずれも大脳基底核の病変を主体とする特殊な疾患です。

γ系の活動の亢進状態が原因とする説や、α系とγ系を連動させて亢進させる上位脳メカニズムにより生じるという説が有力だとされています。

 

 

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