戦前の日本では一般的に「脂肪」を積極的に摂取する食習慣がなく、肉類の摂取も現代に比べると非常に少ない状況でした。
しかし、戦後の経済成長とともに食生活の欧米化が進み、肉類の摂取増加に伴い動物性脂肪の摂取量が増加しました。
動物性の脂肪摂取過多は、血中コレステロール濃度を増加させます。
血中コレステロール濃度が高くなると「高血圧・動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞」などを引き起こします。
日常摂取する脂質は、脂肪酸とグリセリンが結合したものですが、脂肪酸のうちα−リノレン酸は、リノール酸やアラキドン酸とともに必須脂肪酸とよばれ、不足すると身体の成長が止まったり、皮膚障害を引き起こすなどの問題が発生する大切な脂肪酸です。
これらの必須脂肪酸(特にリノール酸とα−リノレン酸)は血液中のコレステロールを低下させると考えられていましたが、最近の研究では、長期間のリノール酸の摂り過ぎは血液の粘りを強くしてしまい、血栓症や心臓病などの病気を引き起こすだけでなく、ガンやアレルギーを促進することがあると指摘されています。
私たちが日常摂取する脂肪酸は、「飽和脂肪酸」(肉などに含まれ、常温で個体が多く、体内でコレステロールになりやすい)と「不飽和脂肪酸」(植物油や魚油に多く含まれ、常温では液体かそれに近い状態)の2種類があります。
「不飽和脂肪酸」の代表的なものとして、n-3・n-6・n-9などがあり、n-3はα-リノレン酸・エイコサペンタエン酸(EPA)・ドコサヘキサエン酸(DHA)などの脂肪酸で、魚・しそ・ひまわり・エゴマなどの食品にふくまれています。
n-6はリノール酸・γ-リノレン酸などの脂肪酸で、べに花など植物油の多くに含まれていて、n-9はオレイン酸などで、オリーブ油が代表的な食品となります。
このうちn-3系の不飽和脂肪酸は、「血清脂質改善効果・血栓症予防効果・糖尿病予防効果・発がん防止効果と抗炎症効果」などの効果があり、健康の維持・増進の面で非常に効果が高いことが明らかにされています。