神経の可塑性と機能変化から構造変化の流れ|フィジオ福岡 運動学習

可塑性とは一般的には修正を可能にする能力と定義されます。
ここでは可塑性という用語を神経の修正能力に関する機構として用います。
可塑性、すなわち修正能力は、短期的な機能変化から長期的な構造変化へと連続的にとらえることができます。

学習とは洗練された活動を作り出す能力における短期から長期への連続する変化である。

短期機能的可塑性は、シナプス結合の効率、つまり結合の強度の変化に関連しています。
学習とは、洗練された活動を作り出す能力における短期から長期への連続する変化とみることができます。
短期学習から長期学習への段階的移行は、神経系の連続的修正能力上の動き、いわゆる神経可塑性を反映したもので、シナプス効率の改善が行動の長期的な修正の基盤である構造的変化をもたらすものとみることができます。
また学習と同様に、機能回復は短期から長期への連続する変化とみることができ、障害直後に起こる短期的な機能変化が弱い結合ながら徐々に現れ、知覚・運動野の再マッピングのような長期的構造変化にいたるのです。

神経系は刺激の特性について学習している。

ヒトは何かを学ぶために学習をします。
学校では授業で教科を学び、それと同じように運動からも学びます。
運動学習は、運動制御のように知覚、認知、そして活動を含めた複雑な過程から出現します。
運動学習は、個人に対する課題と環境との相互作用の結果として生じ、非連合学習は生体が単一の刺激を繰り返されたときに生じます。
結果的に神経系はその刺激の特性について学習します。

害のない刺激に対して学習された抑制反応は“慣れ”と呼ばれます。
それに対して、害のある(有害な)刺激によって引き起こされる反応の増大は、“感作”とよばれます。
非連合形式の学習には短期のものと長期間持続するものとがあります。

初めて“慣れ”について研究したSherringtonは、屈曲反射が頻繁な刺激の反復によって慣れてしまうことを明らかにしています。
慣れは感覚ニューロンとそれに結合している介在ニューロンおよび運動ニューロン間におけるシナプスの活動性の減少と関係していることが研究でわかっています。
慣れの過程では、介在ニューロンと運動ニューロンに接続する感覚ニューロンによってもたらされるシナプス電位の振幅減少(減少した興奮性シナプス後電位:EPSP)がみられます。
学習の初めの段階では、興奮性シナプス後電位の振幅の減少は数分間しか持続しません。
刺激の継続によってシナプス効率の持続的変化が起こり、慣れによる長期の記憶を示しているのです。

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