スポーツを行う上でスタミナは大切です。
スタミナといっても、心肺機能や筋持久力、血糖など様々な要素が絡まっています。
アスリートのスタミナ低下を招く障害の1つに貧血があります。
今回は、アスリートの貧血の大部分を占める鉄欠乏性貧血について考えていきます。
スタミナを維持するために大切な血液
スポーツにおいて様々な動きをするにあたってエネルギーが使われます。
そのエネルギーをつくるのに欠かせないのが酸素です。
その酸素を筋肉に運ぶ役割をしているのが赤血球に含まれるヘモグロビンで、これはタンパク質と鉄を主な材料としてつくられています。
ヒトの身体には2~5gの鉄が存在し、約7割が血液中のヘモグロビンの材料として、残りは肝臓と筋肉に蓄えられています。
体内でヘモグロビンの量が減っていくと貧血と判断されるのですが、実は、ヘモグロビンが低値を示した段階で赤血球以外に蓄えられている体内の鉄は減少しているのです。
まず、肝臓や脾臓などに含まれる貯蔵鉄から減少し、次に造血に働く血漿鉄が減少し、そこから筋肉などの組織に運ばれるミオグロビンの鉄が減り、貧血状態と判断されるヘモグロビンの鉄が減少するのです。
したがって、ヘモグロビンが引く値を示した時点で潜在的に貧血は進行しているのです。
貧血になると、疲れやすくなったり食欲不振、運動能力の低下、女性の場合無月経を引き起こすなど問題が出てきます。
この多くみられる鉄欠乏性貧血ですが、これ以外でもバスケットボールやマラソンなど着地の際の足の裏への衝撃や柔道などの足を擦る動作により赤血球が壊れる溶血性貧血も問題となっています。