骨盤痛と過敏性腸症候群
女性が婦人科を受診する理由として「骨盤痛」が多いとされており、慢性骨盤痛の定義として、「3〜6ヶ月以上続き、妊娠に関係なく、骨盤領域に認められて、生活に支障をきたし、治療を必要とする疼痛」とされています。
骨盤痛は様々な要因がいくつも絡み合っている場合が多く、目に見える病気が存在する場合と見える異常が見つからない場合があります。
この骨盤痛と合併しやすい病気として、過敏性腸症候群が挙げられていて、女性の6人に1人の割合で患っています。
骨盤痛を患っている女性は健康的な便通を取り戻すと症状が緩和することが多いと言われているため、骨盤痛で痛いのか、過敏性腸症候群で痛いのか見極めることが必要です。
そもそも、骨盤痛と過敏性腸症候群の似ているところとして、腹部痛があるところで、下痢や便秘による下腹部の痛みは過敏性腸症候群を疑います。
排便後に痛みが楽になる場合は過敏性腸症候群の可能性が高まります。
過敏性腸症候群と婦人科系の問題
過敏性腸症候群に影響を与えたり、過敏性腸症候群の影響を受けたりする可能性がある婦人科系の問題として、経口避妊薬と生理周期の2つがあります。
経口避妊薬を使用すると、女性ホルモン濃度に影響を及ぼし、消化器官の運動機能に影響を及ぼすため、過敏性腸症候群の症状に変化が現れます。
女性ホルモンである「エストロゲン」が痛みを感じにくくする働きがあるため、影響を与えます。
過敏性腸症候群を患っている女性の中に、生理前に腹痛がさらにひどくなる方が多いのではないでしょうか?
これは、生理前はエストロゲンが最も下がっている時期であるため痛みを感じやすくなっているためです。
もともと男性よりも女性の方が胃腸の痛みに敏感なため、過敏性腸症候群になりやすいです。
また、女性の方が消化管の運動の圧力が弱く、消化管を通るために必要な時間が長いため、便秘になりやすいです。
それに加えて、胃腸の痛みを感じる脳の前部帯状回や島皮質の活動が多いため腹痛が多いとされています。
過敏性腸症候群はSIBOという小腸内細菌異常増殖症が合併していることがほとんどなため、多すぎる腸内細菌を減らす必要があります。
ですので、食事内容の見直しから始めていきましょう。