胃下垂とは
胃下垂という言葉を聞いたことがあると思いますが、胃が骨盤の方まで下がっている状態を指します。
食事をすると下腹部がぽっこり出てしまい、お腹が張って辛いのは胃下垂のせいだと思っている人がいらっしゃいますが、実は胃下垂は病気ではないとされています。
それどころか、胃下垂は腹部症状に対して抑制効果があると報告されており、健康に良いとされています。
胃下垂の人は正常な胃の人と比較すると、胃の不快感が少なく、肥満がほとんどなく、血糖値や血圧・中性脂肪が低く、HDLコレステロールが高いなど健康に良いこと尽くしです。
しかし、胃下垂は永久的な変化ではなく一時的なもので、ずっと下垂している人は少ないとされていて、ぽっこりお腹やお腹の張りとは関係ないとされています。
胃下垂は健康に良いのになぜ胃が荒れるのか?
胃下垂であるにもかかわらず、胃がムカムカしたり、もたれたりすることがあるのは何故でしょうか?
その原因として考えられるのは、機能性ディスペプシアという病気かもしれません。
機能性ディスペプシアとは、検査を行っても何も異常は見つからないが、胃の痛みや胃もたれが続いている状態のことを指します。
機能性ディスペプシアの原因として、胃の蠕動運動障害や胃の知覚過敏、生活習慣、ストレスなどがあります。
治療としては暴飲暴食をしないなどの生活習慣の改善や薬物療法がありますが、数ヶ月後に5人に1人の割合で再発してしまいますので、良い生活習慣を保つ必要があります。
胃アトニー
胃が骨盤よりも下がっている状態を「胃アトニー」と言います。
胃アトニーは胃の筋肉の緊張が弱くなり、胃の運動が低下します。
そのため、消化不良による胃もたれや胃痛、ゲップなどの症状が現れます。
原因としては、痩せ型で長身の人がかかりやすく、暴飲暴食や過度なストレスによって消化不良を起こし、食べ物が胃に溜まって胃が下がってしまいます。
また、腹部の手術や出産を何度も経験すると起こりやすいと言われています。
治療としては食事療法(食事を1日4〜6回に分け栄養価の高いものを少しずつ食べる)や、運動療法(腹筋を鍛える)など生活習慣改善が中心となります。
胃下垂は悪者と思われがちですが、実はそんなことないです。
しかし、胃下垂に胃アトニーがが加わると症状が出やすいので、できるだけ早く治療しましょう。