握る力は老若男女必要な力ですが、力の調節は大切になります。
卵を握るとしても力が強すぎると卵が潰れてしまいますし、力が弱すぎると卵が手から落ちてしまいます。
この調節を行っているのが皮膚の固有受容器であるマイスナー小体です。
どのようにして握る力を調節しているのでしょうか?
マイスナー小体とは
マイスナー小体は表皮と真皮の境界近くに位置し、真皮の1番浅い場所にあります。
マイスナー小体の構造として。神経線維の終末がぐるぐると巻いたところにシュワン細胞という神経ではない細胞の層とが絡み合った構造をしており、球根状の形をしています。
コラーゲン線維と近くの皮膚細胞で繋がっているため、皮膚に何かが当たって凹んだり戻ったりするときに、コラーゲン線維に引っ張られて物理的に変化します。
物理的な変化があるため、神経線維の電気的活動に特徴があります。
どのように握る力を変化させているのか
マイスナー小体の近くにあるメルケル盤という固有受容器と比較してみると、メルケル盤は皮膚に何かが触れた瞬間から離れるまで発火し続けますが、マイスナー小体は変形の最初と元に戻る時にしか発火しません。
また、マイスナー小体につながる神経細胞は1本で多数の小体からの信号を担うため、皮膚の細かく早い動きには敏感です。
物をつかんで移動させる時に物体が僅かながら皮膚の上で小さな滑りが生じることは分かっていますが、マイスナー小体はこれを検知し、脊髄に電気信号を送って筋肉を収縮させ、滑りが止まるまで握る力を強めます。
この働きによって、必要最低限の力で物を繊細に扱うことができます。
もし仮にマイスナー小体が持続的に発火すると、変形してから元に戻るまでずっと発火し続けることになります。
ずっと発火し続けることは、マイスナー小体の特徴である握る力の調節ができなくなります。
そのようになってしまいますと、人間は道具の進化はある一定の段階で止まっていたかもしれませんし、握手すらまともにできず争いが絶えず止まずの状態だったかもしれません。