体脂肪の種類とダイエットへの影響|フィジオ福岡 体内の脂肪の正体

体脂肪には、実は4つの種類があり、それぞれの貯蔵場所や機能によって分類されています。ここでは、ダイエットを考える際に知っておきたい皮下脂肪、内臓脂肪、異所性脂肪、そして褐色脂肪について説明します。

1. 皮下脂肪

皮下脂肪は、皮膚のすぐ下に広がる脂肪組織で、指でつまむことができる脂肪です。この脂肪はエネルギーを貯蔵する役割を持ち、体温を保つ断熱材や、衝撃を吸収するクッションのような機能もあります。皮下脂肪は体にとって必要な脂肪ですが、過剰に蓄積すると見た目に影響を与えるため、ダイエットの対象となることが多いです。

2. 内臓脂肪

内臓脂肪は、腹部の内部で内臓の周囲に蓄積する脂肪です。この脂肪は、皮下脂肪に貯蔵できない余剰エネルギーを蓄える場所として機能します。内臓脂肪が増えると、糖尿病や高血圧、心臓病などの生活習慣病のリスクが高まります。したがって、ダイエットの際にはこの内臓脂肪の減少が重要です。研究によると、有酸素運動や食事管理が内臓脂肪の減少に効果的であることが示されています【1】【2】。

3. 異所性脂肪

異所性脂肪とは、肝臓や筋肉など本来脂肪を蓄積する場所ではない組織に蓄積する脂肪です。これらの脂肪は、健康に対するリスクが高いとされています。例えば、骨格筋に脂肪が蓄積するとインスリン感受性が低下し、糖尿病のリスクが高まります【3】。肝臓に脂肪が蓄積する脂肪肝も、同様にインスリン抵抗性を引き起こし、健康を脅かします。異所性脂肪の減少には、運動や健康的な食事が効果的です。

4. 褐色脂肪

褐色脂肪は、肩甲間や腎臓周囲などに存在する特殊な脂肪組織です。褐色脂肪はエネルギーを消費し、熱を産生することで体温を維持します。これに対して、白色脂肪はエネルギーを貯蔵する役割を持っています。最近の研究では、褐色脂肪を活性化することで体脂肪を減少させる可能性が示唆されています【4】。成人でも褐色脂肪を活性化する方法が肥満改善の研究課題となっており、将来的には「痩せ薬」として活用できるかもしれません。

まとめ

ダイエットを成功させるためには、これらの脂肪の違いを理解し、それぞれに応じた対策を取ることが重要です。皮下脂肪と内臓脂肪の減少には有酸素運動と健康的な食事が効果的であり、異所性脂肪のリスクを減らすためには、定期的な運動と脂肪の少ない食事が推奨されます。さらに、褐色脂肪の活性化を目指す研究も進んでおり、将来的には新しいダイエット法が登場する可能性もあります。


【1】Heymsfield, S. B., et al. (2016). “Body Composition Analysis for Improved Health: The New Gold Standard in Clinical and Research Settings.”

【2】Ross, R., et al. (2000). “Reduction in obesity and related comorbid conditions after diet-induced weight loss or exercise-induced weight loss in men: a randomized, controlled trial.”

【3】Shulman, G. I. (2014). “Ectopic fat in insulin resistance, dyslipidemia, and cardiometabolic disease.”

【4】Cypess, A. M., et al. (2009). “Identification and importance of brown adipose tissue in adult humans.”

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