腰椎分離症は、主に椎弓の関節突起間部に起こる疲労骨折で、スポーツをする青少年に多発します。
発生させやすい原因として、腰椎の伸展および回旋運動であると考えられています。サッカーのシュートを打つ動作にはこれらの動きが高頻度に行われるため、サッカーをしている人に多くみられます。
病期によって自覚症状は変わりますが、初期~進行期は腰椎伸展時に増強される限局した腰痛が多くなります。分離症のほととんどの方が運動時や運動後に腰痛を自覚しているとの報告もあります。
終末期では、偽関節としての分離部の痛みがあります。これは、分離に隣接する椎間関節との交通による椎間関節炎や分離部に分布している侵害受容器の自由神経終末の関与が考えられます。
また、根性疼痛による下肢痛が出ることもあり、腰椎椎間板ヘルニアと誤診されることもあります。
理学所見でいうと、圧痛がみられますが、圧痛は分離椎の棘突起のみにみられます。罹患棘突起の圧痛は自覚症状が消失した後も続くことが多くなります。また、Keep signやextension stress testでの疼痛誘発は高頻度に認められます。そのため、①腰椎伸展で増強する腰痛②Keep sign陽性③限局した棘突起の圧痛、などの理学所見を示す場合には、腰椎分離症を疑い、医療機関の受診をすすめます。