スポーツにおける頸部の外傷・障害は重篤な問題(骨折・脊髄損傷など)として取り上げられることが多いですが、実際には筋や靭帯・軟部組織などに生じる問題が大半を占めます。非外傷性の頸部障害による痛みは、特定の疾患や器質的異常がみられないことから非特異的頸部痛として分類されます。スポーツでは、特に自転車競技選手・野球のキャッチャー・アイスホッケーの選手など、長時間一定の姿勢をとる場合に頸部の問題が生じます。症状・診断は、痛みや頸椎・上部胸椎に可動域制限がみられます。頭部前方位姿勢→座位姿勢だけでなく、トレーニング中にも認められることがあります。頭部が前方に移動することで様々な影響があります。外傷を含めた頸部障害患者では、頸部の筋力・筋持久力が低下するとともに、頭長筋や頸長筋などの頸部深層屈筋群の機能が低下し、前斜角筋や胸鎖乳突筋などの頸部浅層屈筋群の活動が過剰になるといった筋活動パターンの変化が認められています。治療法は、僧帽筋上部・斜角筋・頸部伸筋群のストレッチ、頸椎に対する関節モビライゼーション。(交感神経の興奮性低下や頸部表層筋群の活動低下・頚椎全体の可動性増加などの効果があります)運動療法は、徒手療法と組み合わせることによって、短期・長期とも頸部痛の緩和に効果的です。