骨盤の障害②~下前腸骨棘裂離と坐骨結節裂離骨折~

下前腸骨棘裂離骨折→下前腸骨棘は股関節の屈曲と膝関節の伸展に作用する大腿直筋の起始で、上前腸骨棘と違って皮膚の上から触れることはできません。

症状は、走行中やボールを蹴った際に股関節前方に急激な痛みを生じ、自力での股関節屈曲が痛みによって制限されます。検査は、X線によって診断されます。治療法は、骨片の転位が少ない場合は、股関節屈曲位2~3週の安静を保ちます。骨片の転位が大きい場合は手術によって骨片をスクリューで固定することもあります。

坐骨結節裂離骨折→坐骨結節は、臀部の左右にある大きな骨の突出で、椅子に座る際に体重のかかる場所になります。

症状は、ハードル・棒高跳び・ダンスなどに多く、膝の伸展と股関節の屈曲が同時に起こった時に発生します。坐骨結節の疼痛が強く、椅子に座れないのが特徴的な症状になります。

検査は、X線によって診断。骨形成が旺盛な部分の為、保存的治療が選択されます。股関節伸展・外旋・軽度外転位での安静を保ちます。転位が大きい例では手術を行うべきといった意見もあります。どの治療法をとっても、ハムストリングスの筋力に負けない骨癒合が得られるまで約3ヵ月を要し、その間はスポーツの制限が必要になります。

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