股関節唇損傷について|コンディショニング福岡

テニスやサッカーでは、急なストップや方向転換の際に股関節の過度の屈曲・内転・内旋・回旋が要求されます。

テニスで下肢をクロスさせたバックハンドでは、急激な荷重とともに屈曲・内転・内旋が生じやすく、関節唇は、このようなスポーツ動作の際に大腿骨頭と臼蓋に挟み込まれたり、回旋や牽引のストレスを受けて損傷しやすいです。

ハイレベルなテニスプレーヤーでは、その8〜27%に骨盤・股関節・鼠径部の障害を認め、鼠径部痛(グローインペイン)を訴えるアスリートの約25%に関節唇損傷を認めると報告されています。

大腿臼蓋インピンジメント(FAI)・臼蓋形成不全・関節包弛緩・関節軟骨摩耗があると関節唇はより損傷されやすく、股関節に構造的異常がなくても過度な反復ストレスを受けている場合や、筋機能が低く機能的に関節が不安定な場合は関節唇が損傷されることがあります。

関節唇損傷の大半は関節内側の前部や前上部に認められています。

研究では、股関節の屈曲・内転・内旋位で股関節唇前外側(前上方)部の歪みが増大しやすく伸展・外旋位では後側部の歪みが増大しやすいです。

治療としては、安静・免荷・内服薬、リハビリテーションなどの保存療法で経過をみることが多いです。

関節唇の損傷部には微小血管の拡張や増生のような血管反応が生じますが、関節側の関節唇には血管分布がほとんどないため、関節唇自体の自然治癒能は低いです。

このため構造異常を伴う進行性の症状に対しては外科的治療が選択されることがあります。

関節鏡視下で行われる手術には切除術・修復術・再腱術があり、それぞれ適応は異なります。

比較的小さな損傷に対する関節鏡視下手術の成績は良好でありますが、明らかな退行変性があると成績は不良になりやすいです。

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