大腿骨骨幹部骨折は20〜50歳の青壮年に比較的多く小児にも見られます。
常に強力な外力により発生するため軟部組織損傷も高度で、開放性骨折となることもあり、全身症状についても注意を要します。
発生機序としては、直達外力と介達外力があります。
(1)直達外力
激突、轢傷、墜落などによるものは軟部組織の損傷が高度であり、骨折線は横骨折、あるいは横骨折に近い緩い斜骨折となる
(2)介達外力
屈曲力・捻転力の作用により発生し、骨折線は斜骨折・らせん状骨折となる
分類としては、近位骨折(上1/3部骨折)中央部骨折(中1/3部骨折)遠位骨折(下1/3部骨折)
症状としては、骨折部以下は通常外旋し、下肢の機能は全廃され、腫脹、内出血と短縮による異常膨隆を認めます。
大腿骨上1/3部の骨折
(近位骨片)
屈曲(腸腰筋)、外転(中・小殿筋)、外旋(大臀筋・外旋筋群)
(遠位骨片)
内上方(内転筋群)に短縮転位し、近位骨片の後方に位置します。
大腿骨中1/3部の骨折
大腿骨骨幹部骨折中最も多発します。
(近位骨片)
屈曲(腸腰筋)、内転(内転筋・外転筋の作用が釣り合う場合は中間位)
(遠位骨片)
後上方(ハムストリングなど)に短縮転位します。
大腿骨下1/3部の骨折
(近位骨片)
屈曲・伸展、内・外転、内・外旋のほぼ中間位を取る
(遠位骨片)
近位骨片よりも強く後方(腓腹筋)に転位し短縮(ハムストリングなど)します。
遠位端部に近いものは顆上屈曲型骨折の転位に類似します。
治療法としては、全身状態を観察し、ショック・合併症に注意を払わなければならないです。