X脚・O脚の生理的骨形態と幼児期にみられるブロント病|フィジオ福岡 下肢アライメントについて考える

生理的な成長とそれに伴う形態的変化について考えてみると、特によく話題になるものにX脚やO脚の問題が挙げられます。
Salenius(1975)らは、生後の新生児から成人に至るまでの間、下肢のアライメントはO脚からX脚そして最終的な軽度のX脚と生理的に変化すると報告しています。
すなわち、正常な子供は新生児期の平均15度のO脚から3歳前後には10度のX脚になり、その後、成人の正常アライメントである約5度のX脚へと生理的な矯正機転が働くと考えられています。

この事実は成長に伴い、下肢の形状が負荷に対応するために揺り返しの矯正力が働いた結果であるのか、あるいは何らかの理由から元々このようにアライメントが変化するようにプログラムされているのかは今のところわかっていませんが、少なくとも成長段階でのアライメント変化は通常起こるものであるという事実を表しているものにはなります。

考えてみるに、日本人などのモンゴリアンの成人は平均的には上記の軽度X脚ではなく、軽度O脚となることが多く、これが遺伝子の関係であるのか正座などの生活習慣によるものであるのか未だ議論の対象になっているものの解明されていないといわれています。
しかしながら、指導現場でのお客様のアライメントを見る限りでは生活習慣によるマッスルインバランスの異常が多く、結果としてアライメント異常に陥っているケースが多いのは紛れも無い事実であると思います。
日々の生活習慣での運動や姿勢を見直していくとともに、何が適正なのかを理解していただくことで「悪」となる因子に気づくようにすることがまずはアライメント矯正の一手であると考えられます。

さて、この生理的O脚とは異なり、病的なO脚としてブロント病が知られています。
幼児期のO脚の原因として、代表的なものです。
通常、幼児期のO脚は「生理的O脚」とよばれ、正常な発育家庭で見られるもので、成長するに従って改善します。
生理的O脚であれば、1~3才で改善するはずのO脚が逆に悪くなる場合に強く疑われます。
この1~3才頃に発症するものを幼年期型(infantaile type)、もう少し年長児(6~12才)になって発症するものを青年期型(adolescent type)といいます。
このブロント病は脛骨近位内側の成長軟骨板の成長が阻害され、内側骨幹端の変形(Beaking)が生じO脚が進行してゆく原因不明の疾患とされていますが、装具などで同部への過大な荷重負荷を減じると変形の進行が予防できるとい う事実から、過大な荷重負荷が成長軟骨板の正常な成長を妨げていることが一因と考えられています。

幼児期のX脚、O脚に関してはまずは成長の段階を考える必要がありますし、それがどのような原因で現状の状態にあるのかを考慮してアライメントの改善が必要であれば、矯正していくことが必要になってくると考えています。

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