よくいう「動きの質」問題

トレーニングにおける運動指導の際にその運動経過がよい、あるいはあまりよくないなどと、実際に行われた運動経過の質というものが絶えず問題になります。

よくいう「動きの質」問題。

現実の運動経過を見て、それが「スムーズであるか」とか「しなやかであるか」、「自然に行われているかどうか」などを判断して、それに基づいて質的に動作の評価を行うことです。

正直なところ、この評価に関しては評価する側の指導経験や運動に関する知識の多寡によって、とらえられた内容に一義性が認められない場合も多いのが実際。

ですが、実際に行われた運動を直接観察して即座にその質を判断するというコーチングが運動指導において極めて重要な役割を果していることには違いありません。

求められる質的運動研究

 

本来ならスポーツ科学が発展してきた現代においては、動きの質そのものを科学的にピックアップし数値化、量的諸徴表でしめすこともできますが、運動学で有名なマイネルは、運動経過の量的諸徴表はかなり正確にとらえられこれまでしばしば科学的研究の対象とされてきたのに対して、質的諸徴表はきわめてとらえにくく研究にとり上げられることもめったになかったが、実践においてはこの質的諸徴表にこそ大きな意義が寄せられていると述べていて、数値化されうる量的な動きよりもむしろ捉えにくい感覚的な質的な動きにこそ、動きの本質を見出しています。

これまた運動学の研究者であるペーターゼンは、科学における自然科学的方法をよりどころとした一面的な科学理想主義の問題性を指摘し、「質的運動研究」の存在とその可能性を提唱しています。

ペーターゼンの論文によると、「質的運動研究は運動の優美さのような体験された質の研究に限られるのではなく、さらに現象世界と関連して運動の機能的特性へと問いかけることができる」としています。

このようなことを考えると、「どう動くか」というのは非常に複雑なものなのかとも思いますが、むしろ動きの本質は実にシンプルで無駄のないことが多いもの。

トレーニングに関してもどれだけ動くかといった量的な指標だけではなく、質的な指標を捉えていくことが、本質的な運動教育のひとつのやり方になるのかもしれないと思う次第です。

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