スポーツ観戦をしていると選手達の驚異的な運動神経の良さに感動する場面が多々ありますよね。
目で追えないパンチを華麗に避けたり、目にも止まらないボールを打ったりと私達にはとても信じられないハイパフォーマンスが繰り広げられていますが、選手たちはあの目にも止まらない動きを一つひとつ考えてプレーしているのでしょうか。
今回はそんなハイパフォーマンスがどのように成し遂げられているかを脳科学的な側面から考えてみます。
認識される世界
突然ですが皆さん「我々が生きている世界は全て過去である」と言われたらどんなことを考えるでしょうか。
一見「哲学的な意味かな?」とか「意味がわからない」と思われるでしょうが、実はこれは脳科学的に人は文字や映像が目に入って来てから意味を理解するのに少なくとも0.1秒、通常は0.5秒ほどかかるということを表した言葉です。
つまり感覚センサーが一つ一つ捉えてから思考して、その後に動きを出すまでにタイムラグが発生するのです。
ですので私達が「今」と認識しているのはだいたい0.5秒前の世界なのです。
そこで話をスポーツに戻しますが、野球ではピッチャーが投げた球がバッターまで届くのがざっと0.5秒くらい。
これを意識して「球がこの軌道で来ているからバットをこう振ろう」と考えていては時すでに遅しという訳です。
では、いかにして反応しているかと言いますと脳の真ん中にある「上丘」という部位が登場します。
この上丘という部位は原始的で単純な、障害物を避けたりどこが光ったかを捉える程度の処理能力しかありません。
しかし、その分意識にも上らないほど早く正確に動けるという訳です。
スポーツ選手たちが驚異的な早さで反応できるのはこの上丘の機能をフル活用していた訳ですね。
仕組みがわかったからといって真似できる訳ではありませんが、みなさんもスポーツをする時は考えすぎずに無意識に任せてみるのも良い結果が出るかも知れませんね。