消化器系疾患②

前回は胃・十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎をご紹介しました。

今回はクローン病や過敏性腸症候群(IBS)、虫垂炎についてご紹介します。

クローン病

クローン病とは炎症性腸疾患の1つで原因はわかっていません。

環境要因と遺伝的要因の両者が関係している可能性が高く、若年成人に好発します。

男性と女性では2:1の割合で男性に多く、年々増加傾向にあります。

好発部位としては回腸末端から大腸に好発しますが、消化管のあらゆる部位に病変が見られ、消化管壁の全層の炎症を起こします。

腸管の狭窄や瘻孔を作ることがあり、腸管だけでなく口腔内アフタ、ブドウ膜炎、強直性脊椎炎なども起こる場合があります。

症状としては、軽い腹痛・下痢程度でしたり、発熱、血便まで現れる場合もあります。

虫垂炎のような症状を起こす場合もあるため見分けなければなりません。

経過が長くなると、腸管狭窄によるイレウスを起こすことがあり、貧血や低タンパク血症などの低栄養状態が出現します。

根本的な治療がなく、経過は長期にわたります。

過敏性腸症候群(IBS)

過敏性腸症候群は腸に器質的な異常がないにも関わらず、腸管の運動や緊張の亢進、分泌機能の亢進により、下痢や便秘、あるいは、両方を繰り返したり、腹痛などの不定の胃腸症状を呈するものをいいます。

発症や増悪にはストレスが関与している場合が多いですが、症状が軽い場合があります。

便秘型、下痢型、交代制下痢・便秘型があり、中にはオナラがよく出るタイプもあります。

便秘型は便通がなくてもお腹が張って痛みを生じ、下痢型は急な下痢と腹痛でトイレに駆け込む状態、交代制は下痢と便秘が交互に繰り返します。

症状としては、腹痛や下腹部痛を伴い、排便や排ガスによって軽快することがほとんどで、血便は出ることはないです。

日常生活が原因となる場合もあるので、食事の見直しやストレスの要因の除去が必要となります。

虫垂炎

虫垂は盲腸から尻尾のように出ている部分で、虫垂の炎症を虫垂炎と呼びます。

一般的に盲腸と言われる疾患は実は、虫垂炎のことで化膿性炎症を起こしたものです。

若年者に頻度が高く発症しますが、全ての年齢で発症する可能性があります。

原因は明らかになっていませんが、グラム陰性の腸内細菌が原因で発症することが多いです。

症状は初期に上腹部痛がみられ、吐き気や嘔吐を伴います。

その後、痛みが次第に右下腹部に限られるようになり、発熱を伴います。

触診としては、右下腹部のASISとへそを結んだ外側1/3の位置や左右のASISを結んだ右1/3の位置に圧痛が見られます。

腹膜刺激症状や筋性防御が見られると、炎症が壁側腹膜まで及んでいることを指します。

予後は良好ですが、穴が開くと腹膜炎を起こします。

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