糖質制限と脂質代謝|フィジオ福岡 ダイエット・トレーニングにおける栄養管理

1960年代からの日本人の糖尿病患者の増加は、「食事の欧米化による脂肪摂取量の増加」「自家用車の普及」の2点が原因とされてきました。
しかし「脂肪摂取の増加」は原因ではないかもしれないといわれています。
そう言えるのは、1990年代から脂肪摂取量は減少に転じているが、糖尿病は減少どころか増え続けているデータがあるからです。

中性脂肪増加の犯人は、炭水化物(糖質)の過剰摂取

中性脂肪増加の犯人は、どうも「脂肪摂取量」ではなく、総カロリーのかなりをしめる炭水化物(糖質)の過剰摂取が肥満、中性脂肪増加の原因と考えられています。
また動脈硬化をすすめるのは「食後高血糖」ということもわかってきており、その予防のためには「脂肪制限」より「糖質制限」が有効であることが示唆されています。
以上のことを考えると「炭水化物(糖質)の過剰摂取」はやはり健康に大きな影響を与えるということが示唆されています。

結局のところ総カロリーを見ながら「バランスよく」

では、完全に糖質を制限してしまうとどうなるのかという少し逆説的な考え方からみていきましょう。

身体は糖質、脂質、タンパク質を相互に変換し、糖質が過剰なら脂質にし、空腹時は脂質、タンパク質から糖新生で血糖を維持します。
そのため、 糖質を制限すると脂質が急激に代謝されます。
ところが、このとき血糖になる以上に中間産物のケトン体が大量に生じ、ケトン血症さらには個人差はありますがケトアシドーシスまで進行して生命に危険な状態に陥ることがあります。

また、このダイエッターは体臭、口臭がケトン体のために臭くなるともいわれています。
そして大量のケトン体は肝臓、腎臓に負担をかけ、機能不全に陥らせます。
さらに心筋梗塞、脳梗塞になる確率が高まると指摘され、とくに若い女性が糖質制限をすると生殖器が正常発達しないと報告されています。
つまり、糖質制限食では脂質を分解しながら生きていけますが、失うものがあまりにも多いのです。
また、「糖質制限は米国の学会で認められています」と表現されていることもありますが、そこには「糖尿病の治療を目的として医師の管理下の短期間では」と条件付けがあります。

糖質制限を行うには、多少なりとも完全制限ではなく、管理の上での低糖質制限という感じが相応なのではと考えています。
やはり何事もやり過ぎはダメで、結局のところ個体差の範囲内で総カロリーを見ながら「バランスよく」ということに落ち着くのではないでしょうか?
今後の研究に期待です。

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