ダイエットのためにランニングを始める方はとても多いです。運動によってカロリーを消費し、脂肪を減らすというのは、一見シンプルな方法に思えます。ただし、ランニングの「やり方」によっては、思ったほど脂肪が燃えず、期待する効果が得られないこともあります。
では、なぜ走り方によってダイエット効果が変わるのでしょうか?それは、運動中に使われる「エネルギー源」に関係しています。私たちの身体は、主に糖質(グルコース)・脂質(脂肪酸)・タンパク質の3大栄養素を燃焼してエネルギーを生み出していますが、このうち運動時に使われる主なエネルギー源は、運動の強度によって変わります。
たとえば、短距離走やインターバルトレーニングのように、強度が高く息が切れるような運動では、糖質が主なエネルギー源になります。これは「解糖系」と呼ばれる代謝経路が関与していて、短時間で多くのエネルギーを素早く作り出すために糖質が優先的に使われるからです。

一方で、ウォーキングや軽いジョギングのように、比較的強度が低く長時間続けられる運動では、「有酸素運動」として脂質の燃焼が中心になります。脂質はエネルギーに変換するのに時間がかかりますが、酸素を使って安定的に長時間燃焼することができます。このため、「脂肪燃焼ゾーン」と呼ばれる心拍数の範囲(一般には最大心拍数の60〜70%程度)で運動することが、脂肪を効率的に燃やすのに適しているとされています。
この理論を裏付ける研究もあります。例えば、Romijn et al.(1993)の研究では、低〜中強度の運動(VO₂maxの25〜65%)において、脂質の利用率が高くなることが示されています。また、筋肉内で脂質が代謝されるメカニズムや、ミトコンドリアの関与についても、近年の研究で詳細に解明されつつあります。
しかし、「速いペース=ダメ」というわけではありません。糖質が使われる運動にもメリットがあります。先述の通り、糖質が余ると中性脂肪として体内に蓄積されてしまいます。白米や甘いものなどを多く摂った後には、ある程度糖質を消費しておくことで、脂肪として蓄積されるリスクを減らせる可能性があります。
また、高強度の運動は「EPOC(運動後過剰酸素消費量)」と呼ばれる効果をもたらします。これは運動後もしばらく代謝が高い状態が続く現象で、結果的に多くのカロリーが消費されることになります。つまり、ダイエットにおいては、「低強度で長く動く運動」と「高強度で短時間の運動」の両方に意味があるのです。

具体的なおすすめの方法としては、最初に軽いウォーミングアップを行った後、中程度のペースでランニングをして、その後ペースを落としてゆっくり走る「ミックス型」のトレーニングです。こうすることで糖質と脂質の両方をバランスよく消費することができます。
また、ダイエットにおいて何より大切なのは「継続」です。いきなり無理をして激しい運動を始めても、体がついていかずに挫折してしまっては意味がありません。楽に会話できるくらいのペースで、週に数回、30分〜1時間程度のランニングを習慣化することが、長期的な脂肪燃焼と健康維持につながります。
まとめると、ダイエット目的のランニングでは、「どれだけ走るか」よりも「どう走るか」が重要です。脂肪を効率よく燃やしたいなら、ゆっくりとした有酸素運動をベースに、高強度の運動も必要に応じて取り入れていくのが理想的です。そして、焦らず、気長に続けることが最も効果的なダイエットへの近道と言えるでしょう。



















