骨盤傾斜と下肢の支持性の関係性|フィジオ 骨盤傾斜を考える

日本人に多い姿勢の特徴としてスウェイバック姿勢があります。

特に高齢者の場合は、骨盤が後傾している姿勢が多く見られることから、股関節前面の静的支持機構に対するメカニカルストレスが大きくなっている可能性があると考えられます。

股関節に形態的異常を認めないケースにおいては、骨盤後傾と股関節症や急性破壊型股関節症との関係がある可能性は以前から指摘されており、リハビリとしてはこうした点に注意した評価が必要となっていきます。

骨盤前傾と下肢の支持性向上

骨盤は後傾することで大腿骨頭は相対的に外旋し前方へ押し出されるため、腸骨大腿靭帯へのストレスが大きくなります。

またそれと同時に、腸腰筋に対する二次的安定化機構としての負担も大きくなります。

仮に腸骨大腿靭帯が過度に伸長されると、股関節前面での支持機能が低下した股関節は前方不安定性を呈することになります。

また股関節は伸展位となり、大臀筋の機能低下や股関節回旋筋の機能低下を引き起こし、立位姿勢保持や歩行時の股関節安定性にも影響を及ぼすことになります。

腸腰筋は股関節を屈曲するだけでなく、股関節前面の安定性に大きく貢献している筋肉です。

腸腰筋が機能することにより、骨盤が前傾を保持でき大腿四頭筋が十分に機能してこそ、下肢の支持性が向上することになります。

これに加え腰方形筋が機能することにより、骨盤が固定され、大腿四頭筋とハムストリングスが膝関節伸展筋として機能し、下肢の支持機能がさらに向上することとなります。

胸腰椎移行部の機能が重要。

ハムストリングスは膝の内外旋もコントロールしている事を考えると、腸腰筋や腰方形筋が機能することは股関節機能のみならず、膝関節の安定性にも寄与し、下肢の支持機能向上には欠かせないものになってくるでしょう。

これらの機能向上には、骨盤や腰椎の可動性の向上が必要であり、骨盤前傾と腰椎前弯の可動性向上は重要なピースとなります。

腰椎が適切な前弯を維持するためには、胸椎の可動性の確保が重要であり、特に胸腰椎移行部の機能が重要となります。

下後鋸筋の解剖による研究結果から、脊椎の起始部に近いほど腱性部分が多いとされ、胸腰椎移行部を固定する役割があると報告されています。

特に第11~12肋骨は浮遊肋と呼ばれ、固定性に欠ける構造になりますが、この部位には腰方形筋が付着しています。下後鋸筋は腰方形筋とも連結があり、この部位の安定性に寄与していると考えられます。

こうした点から、胸腰椎移行部の柔軟性および固定性の向上は、骨盤及び股関節機能におおいに影響を及ぼしている可能性があるのです。

 

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