大腿骨は人体で最も長い骨であり、それをスムーズに矢状面上で回転させることで歩行の推進力にしている。
立脚相初期には大腿骨は後方傾斜し、後期には前方傾斜している。
大腿骨の動きに着目すると回転軸を有する回転運動を行っているように捉えることが出来る。
例えば立脚相で評価したい範囲の開始時と終了時の大腿骨長軸で四角形を作り、その対角線の交点を回転軸と定義する。
大腿骨軸の適切な位置
この軸が膝に近いほど膝関節に疼痛が見られる場合が多く、股関節に近いほど股関節や腰部に疼痛が見られる。
この軸を誘導したい場合背臥位で股関節と膝関節を軽度屈曲するように大腿骨を把持し、軸を大腿骨の近位部に誘導したい場合は股関節側は小さく膝関節側は大きく動かす。
回転軸を遠位部に動かしたい場合は股関節側を大きく、膝側を小さく動かす。
この介入により大腿骨の軸が適切な位置に変化することにより歩容や疼痛の改善が見られる。