EIMDとは伸張性収縮を含む運動の数時間〜数日後に誘発される筋損傷のことを指します。
これは高強度、高速度、筋の伸張位での運動で強く発症します。
ですので、フルジャンプスクワットとパラレルスクワットではフルジャンプスクワットの方がEIMDが発症しやすいと言えます。
EIMDは上肢、下肢関係なく発症するのでしょうか?
上肢と下肢の差異
上肢と下肢で発症の程度は研究によって発表されており、上肢の方が強く発症するであろうとされています。
肘の伸筋・屈筋と膝の伸筋・屈筋へエキセントリック収縮でのEIMDの差異を比べると、肘の伸筋・屈筋は膝の筋に比べ血清クレアチン濃度やミオグロビン濃度、遅発性筋肉痛の上昇が明らかに多く、関節可動域や筋力の低下率が大きいと報告されています。
このことから上肢の方が強く発症するであろうと言われています。
見方を広げて全身の筋肉(肘伸筋・屈筋、膝伸筋・屈筋、胸筋、脊柱起立筋、腹筋、広背筋、下腿三頭筋)にエキセントリック収縮を与えた時のEIMDの発症を見てみると、やはり上肢の筋の方が発症しやすいと報告されており、最も発症した部位は肘の屈筋で、次いで胸筋と肘の伸筋とされています。
逆にEIMDの症状が弱かった筋は、膝の伸筋と下腿三頭筋とされていますので、下肢の筋肉には耐性が備わっているのと言えます。
なぜ上肢の方が重症化しやすいのか
上肢の方が重症化しやすい理由として、日常的に下肢よりも上肢の方が活動量が少ないからだとされています。
ですので、耐性を獲得するためには繰り返し行うことが必要となります。
筋トレをよくしている人でしたら同じトレーニングを重ねるにつれ、筋肉痛が発症しにくくなるという経験をしたことがある人は多いと思いますが、これはRepeated bout effect(RBE)と呼ばれています。
RBEは遅発性筋肉痛の抑制や筋力・関節可動域の低下の抑制が生じ、どの収縮様式でも起こるとされていますが、エキセントリック収縮が1番RBEの効果が出るとされています。
RBEは先述したEIMDが強く発生する運動でないと起こらないかというとそういうわけではありません。
実は最大筋力の10%での反復した運動でもRBEが確認されたため、日常的によく動かしている下肢の方がEIMDが起こりにくいという裏付けとも言えます。
トレーニングを始めたばかりでEIMDを発症させたくない場合は、初回時の重りを最大筋力の70%以上のような高重量にはせず、30%ほどの軽い重りからスタートすることをお勧めします。