筋トレは全関節可動域で動かすことが重要だと、耳にしたことがあると思います。
全関節可動域のうち、中3分の1の角度が1番力が入りやすい角度だと言われていますが、下肢と上肢の筋トレ時の関節可動域の違いがどのような影響を与えるのでしょうか?
筋力や筋肥大の観点から書いていこうと思います。
大腿四頭筋(腿の前の筋肉)
大腿四頭筋のトレーニング内容としてスクワットやレッグエクステンションを中心に週に3回、8ヶ月行い膝関節の屈曲角度を0〜50度のグループ①と、0〜90度のグループ②のどちらのグループでも大腿四頭筋の筋力アップや筋肥大がみられました。
①のグループでは膝屈曲50〜70度の角度で筋力アップが見られ、②のグループは全ての角度で筋力アップが見られました。
筋肥大ですと②グループの方が効果的であり、大腿四頭筋の膝から4分の1の部分では元の太さより34%の増加、2分の1の部分では18%の増加、4分の3の部分では40%増加しており、平均で31%肥大したと報告されています。
よって、大腿四頭筋を鍛えるトレーニングは一部の関節可動域で行うトレーニングよりも、できるだけ大きな可動域で行うことが有効です。
上腕二頭筋(力こぶの筋肉)
上腕二頭筋のトレーニングとして、プリチャーカールを週に2回10週間行い、肘関節の屈曲角度0〜130度で行うグループ①と、50〜100度で行うグループ②での比較した研究によると、これもどちらのグループでも上腕二頭筋の筋力アップや筋肥大が見られました。
筋力アップの観点からすると、①のグループの方が②のグループよりも筋力が上がり、トレーニング前と比べて26%の増加がありました。
筋肥大についてもやはり①グループの方が肥大し、約10%大きくなりました。
よって、上腕二頭筋においても一部の関節可動域で行うトレーニングよりも、できるだけ大きな可動域で行うことが有効です。
上腕三頭筋(二の腕の筋肉)
上腕三頭筋のトレーニングとして、ライイングトライセプスエクステンションを週3回8週間行い、肩関節屈曲90度・肘関節屈曲0〜90度の反復するグループ①と肩関節屈曲90度・肘関節屈曲45〜90度の反復するグループ②での比較した研究によると、これもどちらのグループでも上腕三頭筋の筋力アップ・筋肥大が見られました。
筋力の観点からすると②のグループの方が筋力アップし、最大等尺性肘伸展トルクにおいては約60%増加しました。
筋肥大の観点から見ても、やはり②グループの方が有意に高い増加率があり、トレーニング前と比較して50%増加しました。
よって、上腕三頭筋においては全関節可動域でトレーニングするよりも部分的な関節可動域で行った方が効果があります。
筋トレの常識として大きな関節可動域で行った方が良いとされていますが、今後常識が変わってくるかもしれません。