運動後過剰酸素消費量(EPOC)は脂肪を燃やすか?

ダイエットを考えるときに脂肪を燃やそうというのは皆さん考えることですよね。

脂肪を燃焼させるなら有酸素運動というように脂肪燃焼には酸素が必要です。

トレーニング生理学の中には、「Excess Postexercise Oxygen Consumption」とよばれるものがあり、これを訳すと「運動後過剰酸素消費量(EPOC)」になります。

聞きなれない漢字で、何だか良く分からないですよね。
簡単に説明すると、運動終了後に運動前の安静時状態まで回復するまで、一定の時間を必要となりますが、同様に運動中に一気に酸素を消費するとそれをもとに戻すために運動後に酸素をより多く欲するというもの。
もっと分かり易く云うと、運動後にハーハーゼェーゼェーと高い酸素摂取が続く状態のことを酸素負債(Oxygen Debt)といい、この酸素負債の量がEPOC。

酸素負債は、非乳酸性酸素負債(クレアチン再合成)、乳酸性酸素負債(乳酸の除去)に分けられていました。
つまり従来は、乳酸は老廃物として蓄積されるだけで、乳酸性酸素負債とは乳酸を除去し代謝するための酸素消費量だと考えられてきました。

乳酸は実は「解糖系代謝」で常に生成されており、「酸化系代謝」でエネルギー源として消費される。

しかしながら、最近の研究によって乳酸は実は「解糖系代謝」で常に生成されており、「酸化系代謝」でエネルギー源として消費されることがわかっています。
そしてEPOCとは、まさにここの乳酸のエネルギー活用、クレアチンリン酸の再合成、脂肪酸サイクルなどの「代謝摂動」に必要な酸素消費量のことを意味しているのです。
現在では、この考え方が運動生理学の分野で有力な理論となっています。

このEPOCですが、運動していない人にはEPOCは生じません。
しかし、EPOCは、最大酸素摂取量の50~60%以上の運動強度でそれなりの数値を示し、時間の増加に伴って上昇するものの、運動の全体の酸素コストのたった6~15%でしかないことが報告されています。
インターバルトレーニングの場合は、数値は大きくなりますが、それでも従来指摘されたようなEPOCの減量への大きなインパクトは認められず、僅か14%程度だということ。
つまり、EPOC量は、全体の消費カロリーの中で占める比率、すなわち運動中のエネルギー消費に対して、非常に小さいということがわかっています。

ダイエットだけを考えるとEPOCではなく、単純な運動による消費カロリーを高めたほうが痩せやすいといえるのかもしれませんね。

 

 

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