ヒトの直立はもとより、動物の四肢による姿勢の保持には全身の筋、骨格系が強調して働くことが必要です。
その基礎には、複雑な反射があります。
姿勢反射には延髄・中脳が不可欠です。
この姿勢反射には代表的なものとして、頸反射と迷路反射があります。
頸反射は体幹に対する頭部のねじれによって四肢の筋緊張が変化するもので、頸筋の固有受容器からの信号による反射です。
顔が向いた側の上下肢は伸展し、反対側は屈曲します。
迷路反射は、迷路からの信号による反射で特に耳石器は頭部と重力との位置関係を検出します。
例えば、人間が四つん這いになっているときに急に床が傾いたとき、頭部は重力に対して傾き迷路反射が起きます。
その結果、下側の上下肢は伸展し、上側は屈曲します。
これによって体の安定が確保される訳ですが、同時に頭部も水平位に戻るように回転します。
頭部が回転した結果、頭部が体幹に対してねじれるので頸反射がおこり、これも下側の上下肢は伸展、上側は屈曲させます。
このように、迷路反射と頸反射が共同して体を支えるこれらの一連の反射を立ち直り反射といいます。
これは、必ずしも一緒に起こるのではなく、実際には、同時に起きます。
一方、意識的に首を傾ける場合でも頭部は重力に対して傾き、体幹に対してもねじれ2つの反射が起きることになるのですが、これは両方の効果が打ち消しあうので自由に動かすことができるのです。