ゴルフの物理現象でよく使われるものに、「遠心力」という言葉があります。
ゴルフスイングは回転運動であり、クラブヘッドは円を描くように振られるので、遠心力は間違いなく働いています。
ゴルフで遠心力を最大限に生かすために、遠心力を使うスポーツの代表格ハンマー投げから学んでみましょう。
ハンマー投げでは
ハンマー投げの大半のトップ選手は、投げるまでに7回転します。
最初の停止位置で2回転ほどして3回転目から助走し始めます。
最初の2回転で遠心力を安定させて、その後から投げる方向へ動いていくという流れです。
すなわち回転の後に助走です。
これを回転と同時に助走を始めた場合、遠心力の方向が定まらず、十分な遠心加速が得られません。
ゆえに、選手は皆その場で動かず2回転ほどすることで、ハンマーの遠心起動を確定させてから、投げる方向へ助走し始めるのです。
ゴルフスイングでは
他方ゴルフスイングでは、トップからインパクトまでクラブヘッドは大体3/4回転、一回転弱の移動しかしません。
従って、スイング中は遠心力の起動がまだ全然安定していない状態なのです。
この不安定な状態で、余計な動き(腕を飛球線方向に振る、スウェーする、など)が入ると、ヘッドにかかり始めた遠心力がほどけて、スイングに力が乗らなくなってしまいます。
すなわち回転と同時に助走しているわけです。
ボールを飛ばしたいと思うと、普通の感覚だと飛球線方向に手を振りたくなりますが、それは遠心力に逆らった動きになるので、かえってヘッドスピードが下がり、飛距離が出ないのです。
スイング中に何もしない事こそ、遠心力を最大に生かす方法なのです。