運動における「触覚」の役割とは | フィジオ福岡 固有感覚受容の重要性

近年、スマートフォンやタブレットをはじめとしたタッチパネルの普及によって、「触覚」の研究が注目されるようになってきました。
果たして、「触覚」が運動にもたらす影響やその役割にはどのようなものがあるのでしょうか。

体性感覚は身体の表面で感じる皮膚感覚と、筋肉などで感じる深部感覚の2種類があります。

まず「触覚」とは、一般的に五感の1つとして「触覚」といわれがちですが、正しくは「体性感覚 haptics」といい、世界的に定着しつつあります。
体性感覚は大きく分けて、身体の表面で感じる皮膚感覚と、筋肉などで感じる深部感覚の2種類あります。
例えば、指先でそっと机に触れているときは皮膚感覚ですが、徐々に力を入れていくと、その力を感じているのは深部感覚になります。
この2つの感覚に切れ目はなく、組み合わさっているものであるといえます。

皮膚感覚には、温かさ・冷たさなどを感じる温感・冷感や、痛みを感じる痛覚などの感覚受容器があり、これらは皮膚の中にあります。
一方、深部感覚には、手や足などの位置や動きの感覚、外力や圧力が加わったことなどを感じる感覚で筋肉の中にある筋紡錘と、腱に加わる張力と量に反応するゴルジ腱器官という感覚受容器があります。
スポーツ工学やトレーニングで主に考えられるのは、深部感覚です。

触覚がないと、自分の状態が分からなくなって運動できなくなってしまう。

視覚や聴覚とは違い、触覚がなくなる病気は稀です。
しかし触覚を奪われると、接触や動作を目で確認しながら慎重にならないと動けない、自分の存在が分からなくなり精神的なダメージも大きいなどの報告があります。
例えば、足がしびれてしまうと歩きにくくなってしまいますが、それは触覚のマヒが原因です。
触覚がないと、自分の状態が分からなくなって運動できなくなってしまうのです。
これは、運動における触覚の重要性を示す1つだといえます。

触覚によって得られる情報は接触の分布情報と高周波の振動情報。

触覚によって得られる情報には大きく分けて2つあります。
1つは接触の分布情報です。
例えば、バットでボールを打つとき、基本的には筋肉の深部感覚で力を調整していますが、微調整する際には、バットが手と接触している分布の偏りを統合して、力のイメージに変えているのです。
圧力を感じるメルケル小体という受容器が、皮膚と真皮の境目辺りの比較的浅い位置に多数点在しています。
筋肉が部分的に引っ張られることはないので、どの点で接触してどこから力が加わっているのかを感じるためには、皮膚が対応しなければなりません。
これも運動に対する皮膚感覚の役割になります。

もう1つは、高周波の振動情報です。
パチニ小体という受容器が高周波に対して感度を持っていて、高周波で振動している物体の動きや複数点の接触を、皮膚で感じてイメージすることができます。
さらに、起こった出来事の時間を一番正確に知ることができるのも皮膚感覚です。
処理の重さや情報量は違いますが、視覚や聴覚、筋肉の感覚などとは、伝わってくるタイミングが少しずれています。
にもかかわらず、それらが同時に起こっているように感じることができるのは、時間に対して最も処理能力の高い触覚が関与しているからだと考えられています。
「触覚」は肌の接触や圧力、身体の位置などを把握するための重要な感覚であり、皮膚感覚からは接触の分布情報と振動情報を得ることができるのです。

 

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