特定のスポーツに向けて、生理学的・心理的なストラテジーが用いられます。パフォーマンスストラテジーでは、アスリートの特性(たとえば体格、身長、筋線維タイプ、不安レベル)が考慮に入れられます。トレーニングに加え、遺伝的に受け継いだものも利用可能なストラテジーの1つであります。そして、アスリートがどのようにそれらをパフォーマンスに統合し利用するかが成功の鍵となります。
競技に特有の要素を明確に。
特性のなかには身長のようにトレーニングできないものもありますが、各スポーツには競技特性すなわちゲームや競技のルールといった競技に特有の要素があります。スポーツを分析してみると、ルールの変更によりその成功のための要素に変化が生じてきています。
たとえば、腰より下でのブロッキングを禁止したため、アメリカンフットボールでは身長の高いラインマンが有利になりました。また、トップレベルでの男子100m走のタイムは10秒以下でありますが、このことによって成功へのストラテジーが明確に見えます。たとえば、トップレベルのスプリンターには速筋の筋線維が必要不可欠であり、100mを10秒で走るアスリートが遅筋の筋線維を高い割合で持っていることはありえないのでです。
能力をさらに高めパフォーマンスのレベルを上げるためにコンディショニング
生理学的・心理学的に競技特性に適合する能力をもったアスリートは、すべてのレベルで成功をおさめます。競技がより高いレベルで行われるにつれ、要求されるストラテジーもさらに上がります。しかし、多くのスポーツでは基礎的技術がしっかりしてさえいればアスリートとして成功します。というのは、ほとんどのスポーツにでは成功のための要素が複雑に絡むので、ストラテジーの要素の1つを使うだけで成功をおさめることもあれば、同じスポーツでも異なる要素を使って成功する場合もあります。
たとえば、野球において背が高く、上・下肢ともに大きな筋肉を持ちパワフルであるプレーヤーと、身長は低く、筋肉の量は少ないが、すばらしい俊敏性を持つプレーヤーのいずれもが野球殿堂入りする可能性があります。これは1人はホームランバッター、もう1人は守備力抜群でヒットをたくさん打つプレーヤーといった異なるストラテジーの要素が野球では通用するからです。生理学的・心理学的能力を最大限に発揮するために、どのようなスポーツにおいてもアスリートは基礎的レベルの技術を習得しなければならないです。
トップレベルでは、パフォーマンスをそのレベルにまで引き上げるための独特なストラテジー、つまりはいくつかの特性およびそれらのコンビネーションを開発しなくてはならないです。また、さまざまな可可能性の統合もトップレベルでは必要とされるので、あるアスリートはの成功を予測することは多くのスポーツにおいて難しいのです。スポーツ特性および個人に適したトレーニングプログラムがコンディショニングには必要です。もともと非常に発達した身体的・心理的能力持っているアスリートも、その能力をさらに高めパフォーマンスのレベルを上げるためにコンディショニングを用います。トップレベルでは、けがの予防やけがからの復帰のためにさらに能力を高めることが、成功および長いキャリアを得るために必要です。