跳ぶという動作は、種目や目的によって、踏切の仕方や方向が異なります。
陸上競技で見てみても、走高跳と走幅跳では踏切方が異なります。走高跳を例にとってみましょう。
走高跳の際に1番に求められるのは高さだと思います。その高さを決定する要因は初速度と重力です。重力は変わらないので変化するものは初速度になります。その初速度を大きくするためには、どれだけ大きな床反力を生み出せるかということが重要です。助走を利用し得られた床反力を上方向への力に変換させることが必要になります。
ジャンプする際に、膝関節だけ、足関節だけ、股関節だけと、それぞれをバラバラに考えてしまうとどんなに力を入れても高く跳ぶことはできません。それは経験からもわかると思います。一緒に動かすことでより大きな力を生み出すことができるようになるのです。
走高跳のような競技になると、踏切の時間は非常に短くなります。その短い時間の中で大事なことは、伸張反射と弾性エネルギーです。
伸張反射とは、筋が伸張された際に収縮しようとする反射です。このような生理学的な反射は必ずこういう瞬間的な動作の中で起こっていると考えられます。
弾性エネルギーは、ゴムが伸びると元の長さに戻ろうとし力が蓄積するのと同じものです。他動的に形が変われば力を生み出してくれるのです。
これらの力が組み合わさることで短い時間の中で上に跳ぶための力を生み出すことができるのです。
外傷・障害の発生についてですが、重要なポイントは膝アライメントです。膝に捻転が生じるアライメント、あるいは外や内に向いている場合は外傷・障害が発生しやすいだけでなく跳躍動作の際の力も逃げてしまいパフォーマンスの低下にも繋がるので注意が必要です。