インソールと足部バイオメカニクス

足部は常に外部からの力学的ストレスにさらされていますが、正常な機能を有した足部では体の内部構造によって外力に対応しています。

しかし、正常な機能を失った足部では、関節運動に変化が起こり、組織に大きなストレスが生じ、さまざまな障害が発生します。

力学的ストレスを最小限にするためにインソールが用いられますが、動作時の足部バイオメカニクスはどのような変化が起こるのでしょうか?

歩行中の足部回内角度・角速度

後足部から第一中足骨頭にかけて10°の傾斜のついた内側ウェッジでは、靴を履いただけの時と比べて接地時の後足部回内角度が減少します。

また、扁平足やハイアーチに対してインソールを使用すると、接地時の最大回内速度に変化はありませんが、最大回内角速度は減少します。

扁平足では回内位を呈している時間は短いですがハイアーチでは長いです。

このことから、内側ウェッジは歩行時の後足部回内角度を減少させることで後足部のアライメントをコントロールでき、歩行時の回内角速度を変化させる可能性があります。

走行中の足部回内角度・速度

走行時にカスタムインソールを使用することで、シューズのみの場合よりも回内外角度が減少し、最大回内角度が減少します。

さらに、回内角度は立脚期の15〜50%、回内角速度は接地相の0〜15%減少し、接地初期の足部運動学にも変化が見られます。

走動作は後足部接地と前足部接地のパターンがありますが、設置の違いによりインソールの効果は変わりません。

内側ヒールウェッジと内側縦アーチサポートではインソールなしと比較して踵骨回内角度に変化はないと報告されています。

しかし、後足部から前足部まで内側を6ミリ高くしたインソールの場合、フラットなインソールに比べて最大足部回内角度と角速度が減少します。

このことより、走動作中の足部運動学に関してはカスタムインソールが後足部回内角度をコントロールするのに有効です。

 

これらは正常な機能を有した場合の変化です。

つまり、歩行時や走行時に踵骨過回内が起きている場合、もしくは非荷重時に過回内が起きている場合に効果があると言えます。

歩いていて・走っていて踵が痛い、足の裏が痛いなどの症状がある人はインソールを使用しましょう。

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