肉離れは、ハムストリングス・大腿四頭筋・下腿三頭筋・内転筋群に生じやすく、サッカーではハムストリングスに最も多くみられます。
肉離れは、近年の画像診断(特にMRI)の進歩によって、3つのタイプに分けられることができるようになりました。
Ⅰ型は、出血所見のみ認められるタイプになります。Ⅱ型は、筋腱移行部(特に腱膜)損傷型。Ⅲ型は、まれなケースにはなりますが、筋腱付着部損傷型(断裂や引き抜け=裂離損傷)になります。これらは、筋の機能にも明らかな影響を及ぼします。Ⅰ型では、出血によって筋の内圧が上昇し痛みを誘発するものの、筋機能にはほとんど影響しません。このために、ストレッチ痛はあっても軽度であり、早期の回復が見込まれます。Ⅱ型は、筋腱移行部の破綻により機能的な障害が明らかとなり、ストレッチ痛があり力が入らなくなります。Ⅱ型の場合、筋組織の損傷というよりも腱組織の損傷に近いことが特徴となります。Ⅲ型では、腱損傷と同様で、筋の機能は著しく損なわれます。場合によっては1つの筋だけでなく、共同して働く腱(共同腱)や裂離損傷となります。
それぞれのタイプの予後は、Ⅰ型が1~2週でスポーツが可能となるのに比べ、Ⅱ型では復帰に1~3ヵ月(平均6週)を要します。Ⅲ型では手術による修復を検討しなければならず、明らかに予後が異なることが分かってきています。そのため、それぞれのタイプ別に合わせたリハビリテーションを行う必要があります。