腰部周辺の筋機能の評価

腰痛の人と、そうでない人の決定的な違いは何でしょうか?よく考察されるのは、全身の「筋肉の状態」と「バランス」です。筋肉の状態は、「柔軟性」と「筋力の状態」によって「良い」「悪い」を判断します。

バランスとは、身体の左右と前後の比較です。全身の筋肉の主な役割は身体を「支える・動かす」ことで、そのために筋肉には「筋力」「柔軟性」「感覚」の3つの性能が欠かせません。柔軟性は、筋肉の伸びやすさや、関節の動く範囲を表し、柔軟性が低いと姿勢が悪くなり腰椎に負担がかかります。反対に柔らかすぎても、力が弱くて身体を支えられないため、これも腰椎に負担をかけてしまいます。筋肉は柔らかすぎても硬すぎてもダメで、適度なバネ(弾力性)が必要なのです。

伸び縮みを感じ取る感覚の重要性

筋力は、筋肉が縮む力のことです。これは、体重が重いほど必要になります。腰痛の場合には、瞬間的な筋力だけではなく、長い時間脊柱を支え続けるために「筋持久力」が必要になってきます。ところが筋力は長い時間、力を発揮し続けると硬くなりやすいので、柔軟性とのバランスを同時に考えなければなりません。

最後に「感覚」ですが、柔軟性や筋力があっても筋肉の伸び縮みを感じ取る感覚が備わっていなければ何もなりません。実はこの感覚を意識できることが最も重要なのです。ところが、腰痛を抱える人の中には、ストレッチをしても肝心の筋肉の「伸びる感じ」を得られない、筋強化をしても筋肉の「縮む感じ」が意識できない人がいます。それでは運動療法の効果は期待できません。

よく伸びて力強く縮み、十分に感覚が意識できる状態を作る。

ストレッチや筋強化では、ただ動作を行えばよいのではなく、目的の筋肉の「伸び縮み」を意識できなければならないのです。この逆に、筋肉の「コリや張り」を常に感じるような「過敏な状態」もよくありません。コリや張りが出るのは筋肉であって、脊柱自体が「コリや張る」ことはありません。これら「筋力・柔軟性・感覚」3つの組み合わせで、筋肉の状態が理解できます。

「良い状態」とは「よく伸びて力強く縮み、十分に感覚が意識できる状態」であり、「最も悪い状態」は、「伸びない、筋力が弱い、感じない」の状態です。

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