タンパク質とアミノ酸

お肉、つまりウシやブタ、ニワトリなどの筋肉に含まれるたんぱく質はまず、胃の中で消化され私たちの血となり肉となっていくのです。たんぱく質は、アミノ酸が一列に並び、それが複雑に折り畳まれてできた大きな分子です。その大きさでは、腸で吸収できないので、私たち動物は、何種類ものたんぱく質分解酵素を胃から小腸にわたって用意して、たんぱく質をできるだけ細かく、最終的に一個のアミノ酸、もしくは数個のアミノ酸からなる小断片になるまで分解します。その上で、小腸の内側に敷き詰められた「吸収上皮細胞」から体内に吸収するのです。

アミノ酸への分解

胃の中で、たんぱく質分解酵素の一種である「ペプシン」によって大まかなぶつ切り状態に分解され、続く十二指腸で分泌される膵液の中にある分解酵素、「トリプシン」、「キモトリプシン」、「カルボキシペプチダーゼ」などによりさらに小さく分解されます。そうして細かくなったたんぱく質(ここではもうペプチドの状態)は最後に吸収上皮細胞の表面の「刷子縁」と呼ばれるブラシのような「微絨毛」が無数に並んだ側の細胞膜に存在する「ペプチダーゼ」によって、最終的に1個ずつのアミノ酸、もしくは2個から3個のアミノ酸がつながった小さなペプチド断片(ジペプチド、トリペプチド)にまで分解されます。こうして分解されたアミノ酸、もしくはペプチドは吸収上皮細胞に存在するトランスポーターの働きによって吸収されていきます。

分岐鎖アミノ酸というアミノ酸

アミノ酸は、私たちの体重の20%を閉めるタンパク質の材料になっている物質で、自然界には約500種類のアミノ酸が存在します。500もあるアミノ酸のうち、人間の体のタンパク質をつくっているのは、たった20種類でけです。皮膚や筋肉などの細胞をつくっているタンパク質も、その20種類のアミノ酸からできています。

近年、生命維持に使われる以上のアミノ酸を摂取することで、さまざまな機能を高める効果があることが明らかにされつつあります。運動に関して言えば、筋力のアップや筋肉痛の回復に効果があります。というのは筋肉のタンパク質の主成分は分岐鎖アミノ酸というアミノ酸だからです。これは、分岐した構造をもつアミノ酸で、具体的には、バリン、ロイシン、イソロイシンの3つのアミノ酸をいいます。

分岐鎖アミノ酸の様々な機能

運動後にこの分岐鎖アミノ酸を摂取すると、筋線維の材料となるため、その合成を促進してより太く強い筋線維を多くつくれるといわれています。またアルギニンというアミノ酸にはマクロファージ(免疫細胞)を活性化させる働きがあるため、炎症を起こした筋肉の修復を早めることで、筋線維の再生を促進させると考えられています。さらに、アルギニンは精神的な疲労を軽減する効果もあります。なんとなく疲れた、といった精神的な疲労の原因に一つが、細胞が代謝するときに発生するアンモニアにあるといわれていて、毒性のアンモニアは、肝臓で解毒され尿素となり、最終的には尿や汗として排出されます。

しかし身体が疲労することで代謝が活発になると、よりアンモニアが発生していまい、解毒作用が追いつかなくなり、血中に流れたアンモニアが脳を刺激して脳がアンモニア分泌の制限指令を出します。それはつまり、体や頭を使わせないようにすることです。これがなんとなく疲れたと感じる原因と言われています。アルギニンは肝臓での解毒作用を高めることで、アンモニアの解毒を促進し、疲労を軽減することができます。このように、アミノ酸は食事と運動という、規則正しい生活の中で摂取することで、さまざまな機能を高めたりサポートしたりする働きがあります。

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