かけ声と瞬間的パフォーマンス

なにか重い物をもつとき、椅子に座った状態から立ち上がるとき、我々はこうした場面で思わず「どっこいしょ」といったかけ声を言ってしまいます。

こうした言葉を口にしたとき「あぁ年を取ったなぁ」なんて思いますが、この働きは馬鹿にできません。

例えば、身体活動と呼吸との間には密接な関連があります。

一般的には吸気相では促通性に、呼気相では抑制性に働くといわれています。

最大努力で力を出す場合には、吸気相から止息相で発揮した値が最も多くなります。

12名を対象に呼吸と上腕屈曲の最大筋力との関連性を平均でみると、呼気相では27.7kg、吸気相では27.8kg、止息相が30.2kgという結果がでました。

その実験ではかけ声による効果も合わせて検証しましたが、「かけ声」では31.5kgという結果になり、より最大筋力に影響を与えるということがわかりました。

確かに、「どっこいしょ」と言うと、何となく身体が軽くなった気もします。

また、スポーツの場面では「かけ声」は頻繁にみられます。

特にテニス、重量挙げ、ハンマー投げなどの競技のような、いずれも素早い動作を必要とする局面でみられます。

それは、「かけ声」を利用することによって、筋収縮の立ち上がりが加速されるというところにあるようです。

神経筋機能の視点から「かけ声」の効果をみると、かけ声の試行が無声に比べて筋収縮の初期段階において高い値を示します。

これは「かけ声」によって大脳の興奮が効率的になることを意味しており、その結果筋収縮の立ち上がりは加速されるのです。

実際に「かけ声」を積極的に取り入れる剣道の打撃動作において、中段の構えから素早い正面打撃動作を行ったときの打撃動作時間は、「無声」に比べて動作前と動作時に「かけ声」を発するほうが短縮します。

効果的な発声のタイミングは競技種目やトレーニングによって異なりますが、スポーツにおいて素早い動きが必要な時に一度「かけ声」試してみてはいかがでしょうか。

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。