「成長期における発育・発達と食事について」

ヒトの一生は、年齢を重ねていくのに従い、成長期(新生児期、乳児期、幼児期、学童期、思春期)、成人期(青年期、壮年期、実年期)、老年期(前期、後期)に区分することができます。

それぞれの段階で直面する食事や栄養に関する諸問題について、身体的特徴を踏まえた上で理解する必要があります。

どのライフステージにおいても、望ましい食物摂取とは、食べる人の健康状態や生活条件に応じて適切な食べ物を組み合わせて食べ、生理的・精神的に満足できることです。

その中でも今回は「成長期における発育と食事」についてです。

乳児期(満1歳まで)、幼児期(満1歳~6歳未満)、学童期(満6歳~12歳未満)、思春期(満12歳~15歳未満)に至るまでの各時期の特性に応じた適切なエネルギーや栄養の量・質を考えなければなりません。

「乳児期」は、食習慣の形成期

「乳児期」は、食習慣の形成期です。

身体組織や運動機能が成長発達の段階にあるので、必要な栄養素を過不足なく摂取することが大切です。

咀嚼能力の獲得のために、消化能力に合わせた噛みごたえのある食品をよく噛んで食べる経験も必要です。

また、味覚をはじめとする感覚の形成期でもあり、偏食の習慣がついてしまいやすい時期でもあります。

この時期には、様々な食材と調理方法を組み合わせた多様な食べ物を経験して、嗜好学習として記憶できるようにします。

「幼児期」は正しい食習慣を学び始める時期

「幼児期」は、乳児期に次いで発育が盛んな時期ですが、消化器は未発達で一度に多くの食物を摂取することはできません。

身体活動が活発になってくるので、体内代謝も盛んになるため、水分を多く必要とします。

正しい食習慣を学び始める時期でもあります。

「学童期」は、成長・発育が盛んな時期

「学童期」は、6~12歳の小学生の時期に相当し、幼児期に引き続き成長・発育が盛んな時期です。

この時期は、男女差・個人差が大きいので各個人の発育段階に応じた栄養が必要となります。

健康と食生活の関係を理解させて、自己の栄養に積極的に関わる習慣を身につけることが大切です。

また、欠食や偏食を避け、3食を規則正しく取り、不足しやすいカルシウムや動物性タンパク質などの摂取に注意する必要があります。

「少年期」は食習慣の完成期、「青年期」は食習慣の自立期

「少年期」は食習慣の完成期、「青年期」は食習慣の自立期です。

身体の成長とともに運動量の増加によって、必要な栄養素量が最大となる時期です。

3食を規則的にバランスよく摂取することが、心身の成長にとって必要となります。

野菜や魚の摂取量が不足しやすい時期なので、ビタミン・食物繊維・タンパク質の給源である野菜や魚を調理方法の工夫などにより積極的に摂取することが大切です。

また、朝食の欠食率が高くなる時期でもあるので、注意が必要です。

「思春期」は女子は母性へ、男子は父性への準備期間

「思春期」の年齢区分は一定ではありませんが、学童期後半から第二発育急進期に続く第二次性徴を含みます。

この時期は小児期から成人へ成長する移行期で、心身の変化が最も大きく、女子は母性へ、男子は父性への準備期間です。

栄養所要量は成人より多いので、栄養素を十分補給するためには、3食規則正しくバランスのとれた食事を取ることが必要です。

自ら食品を選び、自ら食習慣を作り始める時期なので、基本的な栄養の知識と実践力を養い、適正な食習慣を身につけることが必要となります。

 

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