骨折の合併症

骨折を原因とする合併症のうち、骨折に対する治療過程で骨癒合が得られないものを偽関節、異常な形で骨癒合したものを変形癒合といいます。ほかに骨折に治療後に関節可動域が低下する関節拘縮や、骨折時に骨への血流が障害されるために生じる骨壊死などがあります。

非感染性偽関節

偽関節は感染、骨折部の血流障害、不十分な固定性のほか、栄養不良、糖尿病などによっても起こります。また、喫煙は偽関節の発生率を有意に高めるという報告がなされています。偽関節は感染の有無でいくつかの分類に分けられています。非感染性偽関節として肥厚性偽関節、骨萎縮型偽関節、骨欠損偽関節があり、感染性偽関節に非排膿型偽関節、排膿型偽関節があります。肥厚性偽関節は、骨折端の血行が豊富で仮骨は形成されますが骨癒合が得られていないものをいいます。これに対して、骨折端の血行に乏しく、線維組織があって仮骨がほとんど認められないものを骨萎縮型偽関節と分類します。

骨欠損型

骨欠損型は一部の骨片が摘出され、骨折部に隙間が存在します。感染性偽関節のうち、非排膿型偽関節は、3ヶ月以上排膿がなく鎮静した状態にある静止感染型と、3ヶ月以上排膿はありませんが症状が認められる活動型があります。排膿型偽関節は排膿が認められます。骨折部で屈曲、回旋、短縮などの変形のまま骨癒合した変形癒合は、初期治療時の整復不良、治療過程での整復位固定力の不足で起こります。長期の外固定、関節内骨折、軟部組織損傷、感染などにより関節拘縮が起こり、関節内骨折では関節内組織の癒着、関節外骨折では骨折部周囲の筋の癒着によります。関節周囲軟部組織に重度の挫滅がある場合は、皮膚、筋が瘢痕化して起こります。

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