筋肉とエネルギー代謝

私たちが体を動かそうとするとき、筋肉がその働きを担っています。筋肉が働くときたくさんのエネルギーが消費されるのは、簡単に想像がつきます。どんな風にして筋肉の中でエネルギーが消費されているか。骨格筋の構造と収縮から、エネルギーの代謝を見ていきましょう。

筋の構造と収縮

骨格筋は、両端が腱によって骨格に結合しています。筋肉をだんだん細かくして見ていくと、筋繊維(筋細胞)繊維が見えてきます。そして筋細胞の中には、細い筋原線維と呼ばれる繊維がたくさんあります。筋原線維は、「アクチンフィラメント」と「ミオシンフィラメント」とう繊維上のタンパク質が集まったものです。これらのタンパク質が筋収縮に関与しているタンパク質で「収縮タンパク質」といわれています。筋肉が収縮するときには、この収縮タンパク質である左右の「アクチンフィラメント」が「ミオシンフィラメント」の上を両側から滑り込んでいます。それぞれの収縮たんぱく質の長さは変わらずに、お互いの相対的な位置を変化させて筋肉を収縮させています。このような筋肉の収縮機構を「滑り説」といいます。

エネルギーはどこで産まれるのか

「ミオシンフィラメント」と「アクチンフィラメント」を分子レベルで見ていくと、ミオシンフィラメントは「ミオシン」というたんぱく質がつながったもので、先端が膨らんで2つに分かれています。この膨らんだ部分にはATP分解酵素「ATPase」があり「アクチン」と結合する部分もあります。ATPが筋の主な収縮エネルギー源であることは、みなさんご存知ですよね。アクチンフィラメントは、「アクチン」という球状のタンパク質がつながって繊維状になったものが、2本のらせん状になっています。そこに「トロポニン」という繊維状のタンパク質がついています。細胞内のATPが、ミオシンの頭部で分解され、ADPとリン酸になります。この時に生じるエネルギーで、ミオシン頭部はアクチンと結合し、ミオシンフィラメントをスライドさせます。そして、結合していたADPが外れ、頭部がアクチンフィラメントから解離します。ここに再びATPが結合して同じことが繰り返されることによって、筋肉が収縮し身体が動きます。ミオシンの頭部は、複数あるので順番にアクチンと結合することで繰り返しアクチンフィラメントをスライドさせます。これが、分子レベルで見た筋収縮機構です。

代謝の系路には、「ATP-CP系」「解糖系」「酸素系」などがあり、前2つは嫌気的な代謝。酸素を利用せずに行われる代謝です。「酸素系」は、文字通り酸素を利用して行われる代謝です。有酸素系エネルギー代謝では、主に脂肪酸をエネルギー源として利用しています。脂肪を燃やしたい人にとってはとても興味がある代謝系路ですね。どうしたら効率的に脂肪をエネルギーとして使えるのか。代謝の経路についてはまたお話ししますね。

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