肘関節の骨折・脱臼

肘頭骨折は、転倒した際に肘をつくことで起こります。関節内骨折で肘痛や腫脹が見られます。肘頭に付着している上腕三頭筋の牽引により転位が起こりやすく、その場合は手術が必要となります。

肘関節は肩関節に次いで脱臼が頻度が高い

橈骨頭骨折は、転落時などで前腕回内位で手をつき、橈骨軸へ軸圧が加わると生じます。肘の骨折のなかでは1〜3割程度の発生頻度で、健常な尺骨が支柱となるため保存療法が行いやすいですが、やはり転位の大きいものは手術が行われます。また、肘関節は肩関節に次いで脱臼が頻度が高く、その9割を後方脱臼が占めます。転倒の際に肘関節が過伸展した状態で手をつくことで発生しやすく、骨折が合併することもあります。肘関節はその構造から前後の屈伸運動が基本であるため、側副靭帯に比べて前後の関節包の支持性が弱くなっています。また、前後方向の力に対する抵抗性は、後方の肘頭よりも前方の鈎状突起のほうが弱いために、後方脱臼が多く起こります。

1〜3歳に多い肘内障

小児や高齢者では骨折を引き起こすため、多くは成人にみられます。また、幼児に特有の疾患で1〜3歳に多い肘内障もあります。手が末梢に牽引され、橈骨頭が輪状靭帯より抜けだしそうになる亜脱臼の状態です。典型例では、親がとっさに子どもの手を引っ張り上げたなどの状況により起こります。患児は、上肢を下垂し前腕を回内させた腕を動かさない態勢をとります。外観上では、肘の腫脹や変形はありませんが、転倒などの受傷機転がある場合や腫脹、変形を認める際は、X線撮影して確認します。肘内障ではX線の異常所見は見られないため確定診断に役立ちます。治療は徒手整復で回内法と回外法があります。

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