椎間板変性を促進する要因としては、遺伝・糖尿病・動脈硬化症・肥満・喫煙などが言われていますが、スポーツ活動における腰椎部への繰り返しストレスも、その要因となります。
お大学運動部員を対象にしたMRIを用いた椎間板変性調査によると、野球・競泳選手の約6割が椎間板変性を有し、非運動群(約3割に変性)よりも有意に多く、陸上のトラック競技の選手は変性を有しているものが非運動群よりも少なかったとの事です。
このことは、野球時のバッティングや投球による体幹回旋挙動、椎間板への血液供給メカニズムの減少が椎間板変性を促進したと考えられます。
また、ウエイトリフティング・ボート・バレーボール選手も約6割に腰椎椎間板変性を認め、ウエイトリフティング・ボートによる椎間板への軸圧力、バレーボールのジャンプ、着地動作が椎間板への負荷を多くしていると報告されています。
しかしながら、画像上椎間板変性を有している選手が常に痛みを有している訳ではなく、機能的診断も合わせて選手を見る必要があります。
椎間板内には周囲の一部分のみに侵害受容器が存在し、大部分の場所には血管や末梢神経は存在しません。
このため、通常では体幹の動きにより痛みを感じることはありませんが、椎間板が損傷して炎症がおこり、椎間板内に末梢神経が侵入した際に、前屈動作や回旋動作時に強い痛みが出現します。
通常では、炎症症状が改善すると腰痛も改善を認めます。
症状としては、屈曲による負荷または軸回旋によって誘発され、椎間板が膨張する早朝は痛みが悪化します。
治療としては、初期の炎症期には再損傷を避けることであり、スポーツ活動を中止する事が望ましいです。
また、椎間板は早朝が最も大きく膨張しており、早朝の屈曲を避けることは腰痛の再発を減少させます。