肩峰下インピンジメント症候群:原因、症状、治療法

肩峰下インピンジメント症候群とは?

肩峰下インピンジメント症候群とは、肩の動きの中で肩板や肩峰下滑液包が、肩峰や烏口肩峰靭帯などの烏口肩峰アーチに繰り返し衝突することで生じる病変を指します。この衝突により、腱板に炎症や変性が起こり、さらに進行すると肩峰下滑液包炎や腱板断裂に至ることもあります。

腱板の中で特に損傷しやすい「棘上筋腱」

腱板の中でも特に棘上筋腱は、損傷を受けやすい部位です。これは棘上筋腱が烏口肩峰アーチの直下に位置し、肩峰と上腕骨頭、大結節との間で圧迫されやすいためです。スポーツ活動や繰り返しの肩の動作により、特にこの部位が影響を受けやすくなります。

インピンジメント症候群の発生要因

この症候群は、特に投球動作のコッキング期から内旋に向かう動作や、水泳のフリースタイルやバタフライといった動作により発症しやすいことが知られています。また、肩峰の彎曲が強い人や、肩峰先端に未癒合の骨化核がある人も、この病変が発生しやすいとされています。

インピンジメントの進行段階

肩峰下インピンジメント症候群は、その進行状況により以下の3つの段階に分類されます。

第1期(急性炎症期)

  • 外傷により棘上筋腱に出血と浮腫が発生します。
  • 安静にすることで炎症が徐々に消退します。
  • 好発年齢は25歳以下です。

第2期(亜急性炎症期)

  • 外傷を繰り返すことで腱や滑液包に線維化が生じ、慢性腱炎になります。
  • 炎症は一時的に消退するものの、過度の使用で再発します。
  • 好発年齢は25〜40歳で、保存療法が適応されますが、改善しない場合は手術が必要です。

第3期(腱断裂期)

  • 棘上筋腱、肩峰下滑液包、烏口肩峰靭帯に不可逆的な変性が生じ、腱板が断裂します。
  • 好発年齢は40歳以上で、前肩峰形成術と腱板縫合術が適応されます。

肩峰下インピンジメント症候群の症状と診断

この症候群の主な症状としては、肩挙上時の痛み、特に上肢を肩の高さより上で使用した際の運動痛が挙げられます。肩を使うほどに痛みが悪化し、引っかかり感や筋力低下、夜間痛も伴うことがあります。診断には、ペインフルアークテストやインピンジメント徴候が用いられます。

治療法:急性期から断裂期までの対応

急性期の治療では、冷罨法を行い、疼痛を誘発する動作を禁止します。症状が改善しない場合には、医師に対診を依頼し、さらなる治療が必要です。第2期以降の段階では、保存療法や必要に応じた手術が考慮されます。

治療と予防のためのポイント

  • 急性期には冷罨法と安静を徹底する。
  • 肩の過度な使用を避け、再発を防ぐためのリハビリを行う。
  • 痛みが持続する場合には、専門医による診断と治療を受ける。

まとめ:肩の健康を守るために

肩峰下インピンジメント症候群は、スポーツや日常生活における肩の使い方が大きく影響する病変です。初期の段階で適切な対処を行うことで、症状の進行を防ぎ、肩の健康を保つことができます。フィジオ福岡では、個々の症状に合わせたリハビリテーションや治療法を提供し、肩の健康をサポートしています。

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