頚部捻挫のメカニズムは、頸椎が非生理的運動を強制された場合で、過伸展・過屈曲などが受傷の転機となります。
症状は、頚部から肩甲帯にとどまりますが、めまいや視力障害などの自律神経障害(バレ・リュー症候群)を伴う場合もあります。自覚的症状としては、痛み(とくに運動時痛)があります。他覚的症状は、自覚的症状部位の圧痛が主になります。
診断は、頚部外傷による頸椎の損傷の場合、3つ分けて考えます。①局所症状のみのもの②神経根症状の疑いのあるもの③脊髄症状の疑いのあるものの3つになります。頸椎の捻挫と診断するには、神経症状が無いということが必要となってきます。そのため、運動麻痺や知覚麻痺、あるいは腱反射の異常の有無などが診察時に確認される必要があります。
筋力テスト→(MMT:徒手筋力テスト)により、三角筋(C5・6)上腕三頭筋(C7・8)手関節背屈(C6・7)手関節掌屈(C8)などをみます。
知覚麻痺の診断→上肢の知覚は、頚髄神経の支配領域で、おのおのの領域を検査すると、その損傷の有無や程度、損傷部位を推定することができます。
腱反射→上腕二頭筋(C5・6)橈骨反射(C6・7)上腕三頭筋(C7・8)をみます。病的反射としては、手掌反射・ホフマン反射やトレムナー反射の有無をみます。
画像検査→骨折や脱臼などの骨傷の有無をみるために単純X線は必須となります。後になって、疼痛や可動域制限などの障害が遷延した場合には、精査のためにCT撮影、MRI撮影などを要することがあります。
治療→局所症状だけであれば、急性期は鎮痛消炎処置が行われます。
リハビリテーション→急性期を過ぎたら、等尺性収縮訓練から徐々に動きを伴った運動を開始していきます。