肩関節周囲炎とそのアプローチによる機能予後

肩関節周囲炎は、中年以降に起こる肩関節の拘縮と痛みを症状とする機能障害の総祢です。
発症のきっかけは明らかな外傷や腕を使っている最中に何となくというような原因が全く不明な場合があるなど様々です。
重症例では、腱板断裂や石灰沈着など一時的疾思の後に二次的に拘縮をきたす場合もあります。
このように肩関節周囲炎は50〜60歳代の肩関節障害の多くを占め、日常よく遭遇する疾患であり、様々な病態により、多種多様の症状を呈する1つの症候群です。

可動域制限因子に対して運動療法を行うことは、その可動域制限の改善と疼痛の減少をもたらす。

ある研究によると運動療法開始後4 週以内で痛みと関節可動域に最も大きな改善がみられるという報告がありますが、最終的には外転及び外旋・内旋の最終可動域制限が残る傾向にあると報告されています。
これは烏ロ上腕靱帯の短縮・癒着・関節包の肥厚などが起囚するものと考えられています。
最終可動域においては、触診していくと短縮を確認できる筋として三角筋、大胸筋、大円筋、肩甲下筋、小円筋など問題を起こしているケースが多いとされています。
また、肩峰下滑液包、鳥口下滑液包、三角筋下滑液包も原囚はどうあれ、機能不全を起こした場合は当然痛みと可動域制限を引き起こす原因になると考えられています。

さらに評価しなくてはいけないものが関節包と言われています。
関即腔は本来陰圧に保たれていることで関節の安定性に大きく寄与しています。
関節包の伸張性が低下しているならば、その一部が肥厚した臼蓋上腕靱帯は制限因子として関与している可能性は大きくなります。
これら可動域制限因子に対して運動療法を行うことは、その可動域制限の改善と疼痛の減少をもたらすと考えられます。

運動療法においての症状改善は期間的短縮として有意義。

肩関節周囲炎の予後としては、半年~1年の経過例でほぼ羅患前の関節状態にまで回復するが、多少とも関節拘縮を残すことが多いと報告されています。
放置例における症状改善まで半年から1年と一定の期間を要し、その間の苦痛は相当なものであることも想像しやすい疾患です。
研究報告では約1ヶ月の運動療法においての症状改善は期間的短縮として有意義であって、また石灰沈着性腱板炎にみられるような上腕回旋運動に伴う劇的な石灰吸収と疼痛減少、運動制限の改善は運動療法の有効性を示唆していると考えられます。

また、これら肩関節障害に対するアプローチは、運動療法と普段の姿勢などの生活スタイルの指導を併用することにより、効果的な改善が得られることがわかっています。

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